熊本市の大西市長は市民グループから直接請求を受けた、庁舎移転建て替えの賛否を問う住民投票条例案に「認めがたい」とする反対意見を付けて、1月14日に開会する臨時議会に提出する考えを明らかにした。大西市長は反対意見で「住民投票は議会や市民との6年以上に及ぶ熟議を顧みないもの」などとしている。
大西熊本市長は反対の意見書付けて提出
1月7日に開かれた熊本市議会の議会運営委員会では、2024年12月に市民グループから約1万9000人分の署名を添えて直接請求された庁舎の移転建て替えの是非を問う住民投票条例案について、1月14日に開会する臨時議会で審議し、17日に採決することが決まった。

そして、大西熊本市長は「条例制定の直接請求の意義は理解している」とした上で、「議会と市民と多角的な観点から検討を進めてきた結果」として、条例案に付けて提出する意見書の内容を明らかにした。

大西熊本市長は「新庁舎建設について、単に賛否を問う住民投票を行うことは、6年以上に及ぶ熟議を顧みないものであり認めがたい。住民投票条例を制定する必要はないと考えます」と述べた。

また、反対意見の中で大西熊本市長は「合併推進債の活用期限が今年度中と迫り、この機会を逃せば軽減分の負担を将来の世代に強いることになる」とし、「議会制民主主義の手続きに沿って進めていく」との考えを示した。
市民団体代表は「民意を問うていない」
一方、署名活動を行い住民投票条例制定を直接請求した『熊本市庁舎建設の賛否を問う住民投票をすすめる会』の西川文武代表は、1月7日にTKUの取材にコメントした。

まず大西熊本市長に対して、「2万筆近い署名の重みを分かっていないのではないか。市長はこれまで民意を問うていない。市長として、そのような意見を付けるのはいかがなものか」とコメントした。

そして議会に対しては「市民の代表として誠実な答えを出すことを期待している。すでに予算を可決しているからなどの理由で、条例案を否決するようなことがあれば、信頼される議会からはほど遠いものになるのではないか。真摯な対応をお願いしたい」とコメントしている。

住民投票条例制定をめぐって開かれる熊本市の臨時議会は、1月14日に開会。総務委員会に付託され、17日の本会議で採決が行われる。
(テレビ熊本)