大学入学共通テストが2週間後に迫る中、突如、予備校が閉鎖する事態に。いったい何があったのか。生徒からは怒りと困惑の声が上がっている。

■【動画で見る】『受験生の怒り』入試直前最悪のタイミングで「予備校閉鎖」医学部志望の浪人生が払った400万円返金されるか不明

記者リポート(6日):急遽閉鎖となった大学受験予備校です。シャッターも閉められ、電気も消されていて、中の様子をうかがうことはできません。

「合格率92.7%」、「絶対的な質と量」。 こうした文句で生徒を集めてきた東京都内の大学受験向け予備校「ニチガク」。

■破産の申し立てを知らせる貼り紙

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入口に貼られた紙には、破産の申し立てを知らせる案内が…

『現在、債務の支払に窮する状態にあるため、破産申立てを視野に入れ、債務を整理する予定でおります』

生徒が撮影した動画には、まさかの事態に戸惑う生徒たちの姿が映っていて、その多くが登校して初めて閉鎖を知ったという。

ニチガクに通う高校2年生:4日に塾に来たら貼り紙が貼ってあって、それで知りました。急になくなってしまったので、すごい驚きと怒りがあります。

ニチガクに通う高校2年生:突然こんな感じになっていて、許せない気持ちがいっぱいです。

校舎内に貼られた時間割を見ると、本来であれば冬期講習が行われているはずだが…

ニチガクに通う高校2年生:私たちは冬期講習で昨日(5日)の朝行ったんですけど。そしたら突然こんな感じになっていたので、高3の人とか泣いちゃったりして。

■試験直前の受験生「余計なことしてくれたなって感じ」

受験前の追い込みに使うはずの自習室は使えなくなり、預けていた荷物を引き取りに来る生徒も。

ニチガクに通う受験生:余計なことしてくれたなって感じ。荷物を運んだり整理してる時間、正直勉強しているはずなだったのになと思います。

受験生の子供を通わせている母親は、教室閉鎖の連絡はメールのみだったと話す。

高3の娘を通わせる母親:『重要な連絡です』というコメントと、貼り紙の写真が送られてきただけで。もうちょっと言葉があってもいいんじゃないかという憤りは感じました。

生徒や保護者たちから上がる怒りの声。

■講師の給料も払われないまま

さらに、ここで働いていた講師も…

ニチガクで働く非常勤講師:11月と12月分の給料が払われていません。11月分の給料は大みそかに払われる予定だったんですけども、払われてませんでした。

給料が未払いのままの教室閉鎖は、講師たちにとっても寝耳に水の出来事だった。

ニチガクで働く非常勤講師:僕としてはもう授業をする予定で準備までして行ったら、『もう今後、仕事はありません』って言われて。別の大学生のアルバイトが見せてくれたのは、先月ニチガク側から送られてきたというLINE…。

ニチガク側からのLINE:融資実行日が遅れてしまうことになってしまいました。つきましては10月分のアルバイト代金の支払いを、12月30日に変更させていただきたくお願い申し上げます。

結局、10月分のアルバイト代は支払われないままだという。

ニチガクで働く大学生アルバイト:本当に最後まで見てあげたかったんですけど、なんかこんな状態で勉強させるのも本当にかわいそうだなって。 私たちの給料は、最悪いつになってもいいんですけど、受験生が来週の共通テストだったり、負けずに頑張ってくれるのが一番かな。

■支払い済みの授業料「支払い能力があるか分かりません」とコメント

いったいなぜ受験シーズン直前という最悪のタイミングでの教室閉鎖になったのか?ニチガク側の代理人は…

ニチガク側の代理人:この時期の閉鎖を回避しようと、ギリギリまで資金繰りに奔走してまいりましたが、昨年末に行き詰まってしまいました。

代理人によると、自習スペース確保やパソコンの用意などの設備投資を行ったものの、生徒数が減少したことで資金不足に陥ったということだ。

受験直前で混乱する生徒が相次ぐ中、もう一つ問題は先に支払った授業料。

高校1年生の生徒が支払った授業料、去年6月から1年間で79万2000円をすでに一括で支払ったという。

一方、医学部志望の浪人生は…

ニチガクに通う医学部志望浪人生:自分は多分400(万円)ぐらいですかね。自分も400(万円)ぐらい。僕は200(万円)ですね。

個別指導の回数を増やすと授業料は高額になるという。

ニチガクに通う医学部志望浪人生:僕は個別ないんですけど、僕の妹もニチガクのほうに通っていて、もう100万円払ちゃって、個別もいろいろ残ってたんですけど、それも多分返ってこないんで。どうしようかなって感じです。

はたして授業料は、返金されるのか? ニチガクの代理人は…

ニチガク側の代理人:現状では返金対応ができるほどの支払い能力があるか分かりません。

今後、破産申し立てをして、管財人がついた後の判断になるといいます。 生徒たちの今後については、経営者の知り合いなどに声をかけ、受け入れ先を探しているものの、「現在は何も決まっていない」としている。

■12月30日に最後の授業。1月4日に破産の貼り紙

受験直前に突然の予備校閉鎖となったが、12月30日に最後の授業があり、そこから休みをはさんで、1月4日に破産の貼り紙が貼ってあったということだ。

来週は大学入学共通テストがあって、私立は今月の下旬から入試がスタート。 国公立大学は前期日程が2月25日、後期日程が3月12日ということで、この間、受験生にとっては通う予備校がないという状況だ。

■授業料の前払いを要求や、施設が汚いなどの兆候があれば注意

大阪大学大学院 安田洋祐教授:通われていた方は気の毒なんですけれども、基本的に前払いで授業料を納めていたことなので、資金繰りが悪化していく中で、ある程度将来の予測はつくと思うんですよね。にもかかわらず、ギリギリまで連絡をしなかった。対応には問題があると思います。 今後、このように塾、予備校の倒産って出てきてしまうかもしれないので、できることとしては、前払いを要求してくるとか、施設があまりメンテナンスされていない、汚いなどの兆候があれば、お金がないことのシグナルなので、そういったところは極力避けるぐらいしか自衛策はないかもしれないです。

関西テレビ・神崎博報道デスク:今後、破産管財人がたって、予備校の資産を全部かき集めた上で、優先順位があるので、例えば税金であるとか、職員・従業員の給料に優先的に払われていくので、払った授業料はそのまま戻ってくるとはなかなか考えにくいかなと思いますね。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年1月7日放送)

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