年末年始には、お正月料理でお餅を食べる機会が増加する。餅による窒息事故の死亡者数は年間3500人を超えているという。特にこの時期は高齢者の窒息事故が増加する中、「噛む力」「飲み込む力」低下を予防するためには「ガムを噛むこと」が有効とする専門家の見解があった。

“お餅”を詰まらせた時どうする?

消費者庁によると、餅による高齢者の死亡事故43%が1月に、14%が12月に発生し、特に正月3が日が多いことがわかっている。高齢になると、噛む力や飲み込む力が低下し、餅のような粘り気のある食べ物を安全に食べることが難しくなる。厚生労働省によると、餅による窒息事故の死亡者数は、年間で約3500人以上とされて、特に80歳以上の高齢者では2500人以上が死亡していると報告されている。

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予防策としては、餅を食べる時は「小さく切って食べやすい大きさにすること」や「食べる前にお茶や汁物で喉を潤す」そして「少量ずつ口に入れ、よく噛んでから飲み込む」などが呼びかけられている。そして高齢者と一緒に食事をする際は、食事の様子を見守ることで窒息のリスクを減らすことができる。

もし餅が喉に詰まってしまった時はどう対処すればよいのだろうか。背中を強く叩いて詰まったものを吐き出させる「背部叩打法」や、背部叩打法で効果がない場合に行う「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」などがあるが「腹部突き上げ法」は乳児や妊婦、高度肥満の方には行わないことが肝要だ。

「オーラルフレイル」による誤嚥リスク

高齢になると「噛む力」や「飲み込む力」が弱くなる「オーラルフレイル」により誤嚥事故につながるリスクが高まる。「オーラルフレイル」によって口腔機能が低下すると、滑舌低下、食べこぼし、噛めない食品の増加などの症状が現れる。

口を動かしにくくなることで発音や会話をスムーズにできなくなってしまい、人と会ったり外出することも次第におっくうになる。日本歯科医師会によると、口腔機能の低下は食欲低下・低栄養、全身の筋力低下、免疫機能の低下に加え、誤嚥リスクが高まり、誤嚥性肺炎にもつながる悪循環が起きるという。

あなたはいくつ当てはまる?

「オーラルフレイルチェック」で自身の口腔機能の衰えをチェックしてみよう。

「自身の歯は19本以下」「半年前と比べて硬いものが食べにくくなった」「お茶や汁物などでむせることがある」「口の渇きが気になる」「普段の会話で言葉をはっきりと発音できないことがある」。

この項目で2つ以上当てはまる人は口腔機能が衰えている可能性がある。

高齢者歯科のスペシャリストは、口腔機能低下対策の一つとして「ガムをかむこと」が有効だと話す。「ガム咀嚼は他にもストレス軽減し、気分を改善することや認知機能の改善効果が示されている。ガムは非常に効果的なトレーニングとして期待できる。ガムを咀嚼するトレーニングを生活に取り入れ、オーラルフレイル対策によって健康長寿を目指しましょう」と呼びかけている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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