熊本市の大西市長は2025年4月からとしていた熊本市電の『上下分離』を、相次ぐ運行トラブルによって延期すると11月に発表した。この延期をめぐって市議会では、市側が1年程度延期する方針を示した一方、乗務員の処遇については先行して改善できるよう取り組むとした。

『上下分離』は延期も処遇は先行して改善へ

12月3日の熊本市議会・一般質問で齊藤博議員(自民党)は「そもそも市電の『上下分離』導入の目的は、乗務員である非正規職員の正規化による雇用環境や処遇の改善、技術の承継による安全の担保だったはずです」と、熊本市電の『上下分離』延期による影響について質した。

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井芹和哉交通事業管理者は「上下分離導入までの暫定措置として、給料表の拡充や扶養手当、住居手当の支給についても検討しており、身分は上下分離導入までは会計年度任用職員のままではありますが、乗務員等のモチベーションを維持し、安全運行の励行につなげるとともに、将来の人生設計への影響を最小化できればと考えております」と述べた。

また、井芹和哉交通事業管理者は「上下分離延期によって乗務員を公社の正規職員とすることも延期となるが、処遇については公社正規職員と同程度の給料水準へ先行して改善する」考えを示した。

延期は1年程度 延伸・値上げは変更せず

これについて大西熊本市長は報道陣の取材に応じ、「人の命を預かる極めて重い責任を持った立場でもあるので、これは会計年度任用職員といえども、そういった重い責任に相当する、きちんとした待遇をしていくことは必要なことと思っている」と述べた。

また3日の一般質問で市側は、上下分離の延期は1年程度とし、2031年度の開業を目指す市電延伸については、予定通り進める方針を明らかにした。

そして市電の運賃を200円へ20円値上げする改定についても、2025年6月からを目指すとした方針を変えていない。

(テレビ熊本)

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