山の中に設置された防犯カメラの映像。青い上着にリュックを背負った男が現れ、細い棒のようなものを使い掘り出したのは「マツタケ」だった。4年間にわたる執念の追跡の末、マツタケ泥棒を確保した瞬間をカメラが捉えていた。

「数十万円分持って行った」棒で器用に根元から掘り出す

2024年は雨の日が多く、寒暖差も大きかったため豊作だというマツタケ。そんな中…。

青い上着にリュックを背負ったマツタケ泥棒
青い上着にリュックを背負ったマツタケ泥棒
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山を所有する百瀬さん:
数千円とかっていう単位ではないんです。数十万円を持っていた形になります。

そう話すのは、長野県内にマツタケが採れる山を所有する百瀬さん。

異変に気付いたのは4年前。生えていたはずの場所からマツタケがなくなっていたという。そこで百瀬さんは、動物が何かしてるのかなという思いもありながら、防犯カメラを仕掛けたという。しかし…。

防犯カメラに映っていたのは、赤の他人がマツタケを盗む姿だった
防犯カメラに映っていたのは、赤の他人がマツタケを盗む姿だった

百瀬さん:
これは誰でしょうって感じです。(――完全に見ず知らずの人物?)そうですね。

映っていたのは、赤の他人が山に侵入し、マツタケを盗んでいく姿だった。取材班はその場所に案内してもらった。

ディレクター:
はぁはぁ、この急勾配すごいな…。

百瀬さん:
今、うちの若いのが上がっていって「あー」って思ったでしょ。(泥棒は)あんなんじゃないから。

山に慣れているようだったというマツタケ泥棒は、その採り方にもある特徴があった。

防犯カメラの映像を見ると、マツタケ泥棒の男は棒を使い、器用に根元から掘り出していた。

百瀬さん:
(マツタケを)ちゃんとした商品で持ち帰りたいという意図が見受けられます。

特別に取材スタッフがマツタケを採らせてもらったところ、手で収穫しようとすると、つかんだところが少し皮がめくれてしまった。

その後も、毎年のように度々カメラに映った男の姿。そこで「入山禁止」の張り紙をいたる所に貼ってはみたものの、今度は夜中だけ来るようになったという。

業を煮やした百瀬さんは、仲間たちと張り込みを決行した。何度も空振りした末、10月28日未明、ついに泥棒を確保した。

“先代”から引き継ぎ60年以上も山に…

10月27日午後9時、百瀬さんたちは、男が頻繁に通るという道で張り込んでいた。だが、3時間経っても男は現れず、この日も空振りかと思ったその時…。

百瀬さん:
ちらっと光が見えたもんで。目を凝らしてったら「動いてるわ」と。

確保のチャンスを待つこと、さらに3時間。6時間もの追跡の末、ついにマツタケ泥棒をつかまえた。

確保直後の映像を見ると、観念したのか、男に抵抗する様子はなかった。60代だという男を問い詰めると、驚きの答えが返ってきたという。

百瀬さん:
彼自身、先代っていうか、その方からも引き継いだ形で幼少期からあの山に入り出して60数年。「人の山かわかってるか?」っていう部分に関しては、「分かってます」って…。

なんと男は、先代のマツタケ泥棒から場所やノウハウを引き継ぎ、60年以上も山に通っていたというのだ。その後、男は警察に引き渡された。

百瀬さん:
もう少し手頃な価格。皆さんが食べていただけるような形で、マツタケって出したいよねっていう形でやっています。その中で、うちで採れたマツタケを他のところに持っていかれると、やっぱ金額上がってっちゃうんですよね。

盗まれたマツタケが高値で取り引きされると、価格をなかなか下げられないという。百瀬さんは、マツタケを食べる側にも、意識を変えてほしいと語る。

百瀬さん:
皆さまは、そのマツタケはどういうルートでっていうこともちょっと頭で考えていただければうれしいかと思います。
(「Mr.サンデー」11月24日放送より)      

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