厚生労働省は15日、年収106万円の壁の見直し案を審議会で正式に示した。パートやアルバイトで働く人の手取りを増やし、社会保険の加入を拡大する狙いがある。また、見直しにより、第3号被保険者が縮小され、主婦・主夫の年金に影響が出る可能性がある。

「第3号被保険者」縮小で手取り減

パートやアルバイトで勤務する人の働き控えをどのように解消し、手取りを増やしていくのか。

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毎日のようにニュースになっている「103万円の壁」。そんな中、別の壁に新しい動きがあった。厚生労働省は、15日に行われた第20回社会保障審議会年金部会で厚生年金に加入する「106万円の壁」の見直し案を正式に示した。

15日のテーマは「年収106万円の壁。主婦・主夫に影響大?ソレってどうなの?」だ。

話題の「103万円の壁」は、年収103万円から所得税が課税されるというもの。しかし、年収の壁の先には社会保険料の壁もある。従業員51人以上の企業に勤めている場合、年収が「106万円」で労働時間が週20時間以上になると、厚生年金に加入し、社会保険料を支払う義務が生まれる。

年収の壁のイメージ
年収の壁のイメージ

さらに「年収130万円」になると、企業の規模に関係なく払う必要が出てくる。現在、年金の加入者は大きく分けて第1号から第3号に分類される。

「年収の壁」が関係してくるのは、会社員の配偶者など「第3号」で約721万人。働き方の多様化などで厚生年金への加入を拡大させたい狙いがあるという。

その上で、第3号が縮小されることになる。第2号になると手取りは減るが、将来受け取る年金が国民年金と厚生年金の2つになるメリットがある。

「壁を超えないように調整しなくては」…雇う側の企業も悩み

青井実キャスター:
第3号が縮小の流れをどうみますか?

SPキャスター中村竜太郎さん:
手取りが減ることを重要視するのか、今払っておいて将来的な備えにしておきたいという考え方はあると思います。いずれにせよ、我々の安心につながることなので、そこはちゃんとじっくり考えたいと思います。

記者:
「年収の壁」意識している?

パート従業員・50代:
気にしますね。他の同僚が前半多く出勤したから、後半で(シフトの)調整に入りはじめて、また(人手が)足りなくて(シフトを)埋めあってるので大変です。

青井キャスター:
こうした意識に、雇う側の企業も悩んでいます。90人以上のパート従業員を抱え、訪問看護を行っている会社の西村さんです。

訪問看護ステーションブロッサム代表取締役・西村直之さん:
これが10月・11月で(年収の)壁を超えないように調整しなくてはならない方たち。(1人あたり)2カ月で30稼働あるので、その稼働を別のスタッフにお願いをしていかなきゃならない。

青井キャスター:
審議会では厚生年金保険料の負担割合についても、企業と従業員の合意があれば、企業の負担割合を増やす案も示されています。
(「イット!」11月15日放送より)

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