一体社内で何があったのだろうか。
10月突然、破産を決定し、全社員を解雇した船井電機。
現会長が関西テレビのインタビューに応じ、破産を取り消し、経営を立て直すと話した。
■550人の従業員が即日一斉解雇 「来る時が来た」と解雇された従業員
この記事の画像(9枚)船井電機 原田義昭会長:相当、努力しないといけませんけど、なんとか乗り切れるという意味で、私は代表取締役として、十分自信がある。
破綻した会社の立て直しに自信をみせるのは、船井電機の原田義昭会長。
2018年、安倍内閣で環境大臣をつとめ、ことし9月、船井電機の代表取締役会長に就任した。
かつては“世界のFUNAI”と呼ばれ、日本を代表する電機メーカーとして名をはせたが…近年、経営状況の悪化が続き3年前には非上場になった。
そして、10月24日、船井電機経営破綻。
10月、取締役の1人が東京地方裁判所に「準自己破産」を申請し、即日、破産手続きの開始決定を受けた。
従業員、およそ550人はその日に一斉に解雇された。
解雇された社員:(会社からは)きょうで解雇ですと。給料でませんという話ですね。まじかという感じですね。
解雇された社員:まさか、いきなり破産という感じになったので、今から本当に(就職活動)やっていかないといけない。
解雇された社員:来る時が来たかという感じですね。兆候がなかったわけではない。そんなに経営が良くないんじゃないかと。
■就任から3年前で300億円の資金流出 相次ぐ役員の入れ替わり
破産申し立て書によると、経営難が続いていた船井電機は、3年前に社長に就任した、上田智一氏が「事業の多角化」をかかげ、脱毛サロンの会社を買収したが、1年後に売却。
就任からおよそ3年で300億円もの資金が流出していたという。
その後も役員の入れ替わりが相次ぎ、ことし9月に上田社長は退任した。
■破産“決定の取り消し”を申し立てた会長 経緯を語る「相談はなく、報道で知った」
裁判所の決定を受け、破産手続きが進んでいると思われたが…13日、新たな動きが。
船井電機の原田会長が、決定の取り消しを東京地裁に申し立てていたことが分かったのだ。
14日、その原田会長が関西テレビの取材に応じ、経緯を語った。
船井電機 原田義昭会長:私も率直にびっくりしました。大方の皆さん(役員)は、必ずしも詳しく、相談を受けている雰囲気ではなかった。
そもそも、「経営陣からは破産手続きについての事前の相談はなく、報道で知った」という原田会長。
伝統ある船井電機を「破産」で終わらせるわけにはいかないと、「事業の再生」に意欲を示す。
船井電機 原田義昭会長:自己資産ですね。まだまだ、たくさんあります。何とか経営を安定させれば、大いに事業再生できる。
原田会長はことし9月に会長に就任したばかり。まだ事業の引継ぎも受けていないという。
船井電機 原田義昭会長:今までの経営本体にも、それぞれ原因があったと思いますけど、例えば企業ガバナンスの問題とか、お互いの連絡体制の問題とか、過去の成果・業績に現在の人が少し寄りかかっていた。そういう意味では、やっぱり心の緩みがあったのだと思う。
■「コスト削減や高い技術力が根拠」事業再生に自信
破産申立書によると、船井電機の債務超過は117億円。
本当に事業再生は叶うのだろうか。
(Q:再生できるという一番の根拠は?)
船井電機 原田義昭会長:できるだけコストの縮減するとかですね。それで営業を強くする。各工場や本社ビル、資産はおかげで相当大きなもの。無駄なものは、どんどん切っていくし。2000人を超える従業員、これこそが何よりの財産。
コスト削減や高い技術力などを根拠に、事業再生に自信をのぞかせる原田会長。
近く民事再生法の適用も申請する方針だ。
果たして、「破産」への対抗は認められるのか?“世界のFUNAI”は今後、どうなるのだろうか。
■破産の手続きが進む中、再生の見通しは立つのか
破産手続きが進んでいる中で、破産の取り消しを申し立てているという。これは簡単なことではない。
菊地幸夫弁護士:破産開始決定、つまり破産の手続きをはじめますよという裁判所の決定が出たのは、破産の要件があると認定したからです。だからそれを覆すのは、極めて難しいということになります。
どうするのかというと、原田氏もおっしゃっていた通り『再生できる、大丈夫だ』と、民事再生の準備を進めてるということになると、『企業をまだ継続できるんだ』という、“再生”という別の手続きで、裁判所がその見通しがOKということになれば、いま進行してる破産手続きは、一旦止まるということになる。
再生がもしうまくいけば、これ(破産手続き)は失効する。うまくいかなければ、またここ(破産手続き)に戻るというです。本当に再生の見通しがあるのかどうかが、ポイントになると思います。
債務超過が117億円ということで、関西テレビ神崎報道デスクはこのように話す。
関西テレビ 神崎博報道デスク:ただ今回の破産の経緯は非常に不可解な所もあります。やっぱり船井電機と言えば大阪の会社ですし、家電の老舗でもあるので、従業員を含めて、何とか企業が残る方向で動けたらいいなという期待があります。
一番の被害者は従業員の方、そしてそのご家族の方だ。
“世界のFUNAI”再生の道は、はたして残されているのだろうか。
(関西テレビ「newsランナー」2024年11月14日放送)