「今年は紅葉が遅い」。観光地を訪れた人たちは口をそろえて言う。
例年ならそろそろ平地でも紅葉が楽しめる頃だ。そこで、東京都心部でも比較的早めにイチョウが黄葉する、東京駅近くの「行幸通り」に行ってみた。

平地の紅葉・黄葉鑑賞は“少し遅め”がおすすめ

行幸通りは神宮外苑のイチョウ並木より毎年少し早く黄葉し、例年ならちょうど今頃(11月中旬)が見頃になる。

東京・丸の内の「行幸通り」(11月14日・筆者撮影)
東京・丸の内の「行幸通り」(11月14日・筆者撮影)
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ところが今年は、一部の木で黄葉が始まっているものの、全体としてはまだまだで、早くてもあと1週間はかかりそうな印象だ。

今年は秋の高温の影響で、各地で色づきが遅れていて、平地の紅葉、黄葉は例年よりも少し遅めに行く方が良さそうだ。

“気象予報士泣かせ”のパターン…週末の天気予報に注目

さて、気象予報士としてこの週末の天気予報を注目している。なぜなら、スーパーコンピューターの実力がどれぐらい上がってきたのかをチェックできるからである。

筆者がフジテレビで天気予報の仕事にかかわったのは35年ぐらい前だが、その頃、天気予報がよく外れたのが、この週末に予想されている気圧パターンなのだ。

11月のこの時期、日本海から北日本を低気圧や寒冷前線などの深い気圧の谷が通る時、四国沖に低気圧が発生して、北の前線などとリンクして列島を南北から挟むようにして一緒に東に進むことが多い。日本海側や北日本は、日本海を進む前線や低気圧の影響で雨が降り、雷や強い風を伴うこともある。太平洋側は四国沖に発生する南岸低気圧の影響でこちらも雨が降る。

難しいのは関東平野。北の前線と南の低気圧、どちらが主役なのかで、天気が全く異なる。さらに、その主役が関東の所で突然入れ替わることがあるのが厄介だ。関東地方に北から前線が南下する場合、2000m級の高い山を越える際に雨雲が衰弱してしまう。さらに、関東平野に南西風が強く吹くと、まるでエアポケットに入ったかのように関東だけ晴れてしまう。

関東地方に雨をもたらすのは四国沖で発生した南岸低気圧だが、静岡県までは雨を降らせるものの、関東に来た途端、急に雨を降らせなくなってしまうことがある。主役が北からの前線や低気圧に入れ替わったためだ。35年前はこのパターンによく泣かされた。最近は、コンピューターの予想がとても優秀なので、このパターンを気にする必要がほとんど無い。

17日(土)から18日(日)にかけて、サハリン付近を低気圧が通り、低気圧から伸びる寒冷前線は日本海から北日本を通過する。また、17日(土)には九州~四国沖に低気圧が発生して、18日(日)にかけて太平洋沿岸を関東へと進む。まさに、35年前だったら天気予報がよく外れたパターンだ。

14日現在のコンピューター予想では、関東付近で主役の入れ替えを微妙に示唆している。ちょっと玄人好みだが、天気予報を実力が上がったのか?この週末の天気から目が離せない。
(フジテレビ気象センター 三井良浩)

三井良浩
三井良浩

気象キャスター、プロデューサーを経て、2024年にフジテレビを定年退職。現在、フジテレビ気象センターでシニアエキスパート勤務。モットーは、災害から国民の生命と財産を守るための情報を届ける。気象予報士。