“闇バイト”に応募した犯行グループによって、多くの高齢者が強盗などの被害に遭う中、SNSなどを通じて“闇バイト”に接触してしまう“高齢者”が出てきているといいます。
この記事の画像(13枚)警視庁による2024年上半期の「特殊詐欺 年代別検挙数」をみると、一番多いのは20代で129人、次いで10代は68人と2023年の上半期と比べると33%も増加。
さらに、60代は6人と一見少ないように見えますが、同じく2023年上半期と比べると増加しているというのです。
犯罪ジャーナリストの多田文明氏によると、“自宅でできるお小遣い稼ぎ”感覚で、知らないうちに応募して犯罪に手を染めてしまうケースもあるといいます。
深夜に“猫”を探して7500円 不審な求人に運営も対応
実際に、求人情報サイトに不審なバイト募集記事が掲載され、“闇バイト”の疑いありとサイト側が募集を即時削除する事態にもなっています。
「深夜の散歩が好きな方必見!夜道で猫を探すバイト 指定された道を通り、猫がいたところを地図上で印をつけるだけです!」
(実際の掲載内容から抜粋 ※現在は削除されています)
深夜に3時間、“猫”を探すだけで7500円の報酬。さらに、「情報漏洩防止の為、携帯電話や荷物を預かります」という不審な一文もありました。
この求人が掲載されたのは、スキマバイトを募集するマッチングアプリ「タイミー」。登録者は約900万人と、若者から年配まで幅広い世代から人気のアプリです。
「株式会社タイミー」広報 東郷章人さん:
そういった不適切な可能性のある求人というものが、弊社のサービスに掲載がされていたっていうところに関しましては、誠に遺憾でございます。
(掲載は)11月7日の多分深夜未明から、早朝にかけてくらいのお時間だったかなと思います。11月7日の午前中にはもう検知をしておりまして、掲載、マッチングができない状態として、差し止めているような形になっております。
アプリを運営する株式会社タイミーは、登録事業者の審査(法人印鑑証明書など書類による確認)や、これまで掲載された求人内容を目視で確認していたところを、今後は掲載前のチェック体制などをより強化できるように検討するなど、体制を強化する方針です。
「株式会社タイミー」広報 東郷章人さん:
(闇バイトの募集は)主にX(旧Twitter)等での、いわゆる一つの案件で「高額報酬」みたいなところというのが、結構、代表的なイメージだったかなとは思っておりますが、どんどん巧妙化をしていっているのかなっていうのは、一事業者の立場として感じております。安心安全にご利用いただけるための環境を作るために、どういった対策ができるのかっていうところの議論を今、始めております。
手口が巧妙化する中、「闇バイト撲滅」に向けて国も動き始めました。
12日、福岡資麿厚労相は、“闇バイト”が疑われる場合は、求人情報の掲載拒否や保留するよう、仲介事業者に要請したことを明らかにしました。
福岡資麿厚労相:
(求人情報を)掲載前にしっかりとチェックして下さいと申し上げていますが、そこで仮に漏れた場合も、その後もしっかりとチェックしていただくということを徹底していただくということだと思います。
「言ったことを守る」「疑われにくい」
闇バイトの“担い手”として狙われる高齢者。
――高齢の方が犯罪グループからしたら利用しやすい?
犯罪ジャーナリスト 多田文明氏:
そうですね、私が闇バイトを募集しているリクルーターに話を聞いたところによると、「シニア層や高齢者の方は年齢がいっていると社会経験があるので、言ったことをしっかり守ってくれるんだ」と。それに対して「若い人は言ったことをしっかりやらないやつが多い」と。だから逆に年をいっている方がいいんだという話もしていましたし、後は“茶髪じゃない”という話も。若い人は茶髪なのでそれを黒髪にしないと、警察官のふりをして行かせれないんですね。その辺も便利だと話していました。
MC谷原章介:
こちらも、見た目が若いとちょっと怪しいなと思ってしまうけれど、ある程度年のいった経験のある方だと「まさかこの人が(犯罪行為を)やるわけない」と見てしまうところがありますよね。
犯罪ジャーナリスト 多田文明氏:
(取材で聞いた話によると、高齢者は)臨機応変に対応できるらしいです。自然にアドリブで返せるみたいなことが身についている部分もあるので、非常に重宝すると。
多田氏によると、外見が疑われにくいという理由で特殊詐欺で現金やカード類を受け取る「受け子」や、在宅での簡単な作業で、報酬額も1~2万円と小遣い間隔で応募してしまう「銀行口座の開設」などが、事前に不審なバイトだと見分けにくいことから高齢者の“闇バイト”として狙われやすいといいます。
犯罪ジャーナリスト 多田文明氏:
銀行口座の開設も直接いってやるわけではなく、ネット上でできてしまうので、指示通りにやればできてしまうと。
私が最近一番びっくりしたのが、情報提供者からもらった動画をみると「銀行口座を開設してくれればお金をあげるよ」と言っている人が、シニアなんですよ。60代過ぎている方が(闇バイトを)紹介している。ものすごく見た目が落ち着いていて、すごく説得力があるということもあるので、社会経験ある人の方が、そういうことに“使われやすい”かなと。
教育評論家 尾木直樹氏:
(闇バイトに加担する人の)高齢化というのはどんどん進んでいるような気がします。
やはり、高齢者のところ、特に年金生活者になってくると、収入が少ないんです。大体今平均5万5000円くらいの年金なんですよね。そしたら、家賃も払えないですよ。そういう生活苦みたいなことも、大きな背景にあるのかなと。
(めざまし8 11月13日放送)