今や当たり前となっている学校で授業を受けるときに使うタブレット。
全国の公立高校では、コロナ禍で国から支給されていた交付金を活用し、1人1台、タブレット端末を公費で整備してきた。
【動画】『授業用タブレット』レンタル代“30万円”という保護者も 端末代だけじゃないリアルな費用負担を調査
しかしコロナ禍が明け、交付金が終了したことにより、公費負担から保護者負担に切り替える自治体が増えているのだ。
■23府県が原則公費負担、24都道府県が原則保護者負担
この記事の画像(5枚)調べてみると…
現在23府県が原則公費負担、24都道府県が原則保護者負担となっていて、ほぼ半々に見える。
しかし実は、公費負担のタブレットが前の年に比べておよそ6万台減っているのに対し、保護者負担のタブレットは26万台も増えている。
大阪の公立高校で話を聞いてみると…
大阪府立大手前高校 足立先生:大阪府はタブレットについては、個人で負担することなく、公費で負担されている。和歌山は同じように公費だと聞いているが、(関西では)保護者負担のところがほぼほぼだと。
関西でも住んでいる地域によって負担はバラバラで、大阪と和歌山以外は原則保護者負担だが、大阪でも今後、保護者負担にするかどうか検討中とのことだ。
■タブレットの費用負担を調査
そこで見逃し厳禁なのがタブレット1台の費用。
現在、公立高校で使用しているタブレットは?
大阪府立大手前高校 足立先生:1台7万円ほどと聞いてます。1学年360人いるので、およそ1080人ほど。単純計算で7000万円ぐらい。
1つの高校だけでこれだけの金額。保護者のみなさんにとっては、まさに戦々恐々のおっカネー事態に!
ちなみに、こちらの高校ではChrome bookというものを使用しているが、京都府の公立高校が採用しているiPadの場合だと、本体がおよそ3万6000円、キーボード付きのケースがおよそ1万円。その他アプリの設定費用や故障した時の補償費用などで合計でなんと9万円。
■実際に使用している生徒の声は
この決して安くはないタブレットですが、実際に使っている生徒に話を聞くと、お金だけではない、教育現場が抱える見逃せない問題が…
生徒:私は初心者やったんで、(タブレット授業は)分かりやすい。やっていくにつれて規制がかかってたので、見たいものでもインターネット情報は見れない。たまに不便だと思う事もある。YouTubeも規制がかかっている。
生徒:プラス面もマイナス面も結構あって、資料の共有をチーム内でできたり、学校だけじゃなく家に帰ってからでも、通話しながら共同で作業が進められるのが利点。不便な点は、シンプルに重い。
生徒:教科書も使ってノートも使って、パソコンも使うので、プラスの重しになってる。もし実費負担になるなら、教科書の代わりに、パソコン使えるとかそれぐらいの事があっていいと思う。
現在、タブレットは1人1台支給されているものの、まだ全ての授業で使うほどではなく、こちらの高校でもタブレットを使っての授業は、英語などおよそ4割程度。
タブレットと教科書の併用を改善してほしいというのが、今の子供たちのリアルな本音のようだ。
■タブレット費用を負担する保護者の声は
原則、公費負担だった大阪の公立高校でもタブレットが自己負担になるかもしれない。
そんな状況の中で保護者のみなさんはどう思っているのか?リアルな本音を調査した。
林さんは長男が公立高校の2年生、浅海さんが公立中学校の2年生、益田さんが私立中学校の1年生の女の子と三者三様ですが…
(Q:3人の中でタブレットに関して一番負担がないのは?)
林さん:パソコン(タブレット)は学校から貸与なので私たちの負担はない。ラッキーだったかなというタイミング。
他の2人:逃げ切ったな!
(Q:一番負担されているのは?)
益田さん:(負担しているのは)夫ですけどね。
去年、娘さんが私立の中高一貫の学校に入学し、タブレットを学校からレンタルしているという益田さん。その負担額は?
益田さん:30万円ぐらいと思っている。3年で。
林さん:いや、もう無理。
益田さん:それが当たり前やと思っていて。公立が払ってないと知らんかった。一部でも負担してると思ってた。
「年間10万円」という金額を聞いた2年後に高校生になる娘さんを持つ浅海さんは…
浅海さん:すごい不安がいっぱい。娘が今のところ公立に行くか私立に行くかも分からないので、(自己負担を)見据えてためとかなアカンのかなと思って必死にためてる感じ。目標額もわからないままためている。
浅海さん:でも今、30万円って聞いたから、ちょっと30万円は無理かも。
■タブレットの負担は「隠れ教育費」とも
タブレットの負担はあまり表には出て来ない「隠れ教育費」とも言われ、保護者の負担になっている。 国が進めたタブレット端末の支給が、こんな形で負担が家庭に来るおそれがあることについて、どう思うか?
ジャーナリスト 浜田敬子さん:うちの子も中1から持っていますけど、それがないと授業で宿題出したりもできないような仕組みになっているんですよね。これってコロナ渦の特例で無償になっていたのですけど、その前まで有償だったりしたんですよね。子供が入学する地域によって、有償か無償が分かれるのは、公平性に欠けますよね。 高校無償化しても、隠れ教育費がどんどん今上がっている。定期代、制服代、こういった備品みたいなものがあれば、無償の効果も実感しにくいんじゃないかと思うんですね。
学校教育法では、学校の運営とか授業に必要なものは、学校の設置者が用意するとなってますよね。『GIGAスクール構想』って、1人1台というのが国の政策なんですけど、ある程度予算措置をして無償で貸与するというのが、やっぱり私は教育現場がやってほしいなと思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年11月8日放送)