10月22日(火)午前3時、2024年通算で20個目の台風が発生した。

ここ数日で、北から続々冬の便りが届く中、まだ南の海上では慌ただしく積乱雲が渦を成し、日本を含む、東アジアを脅かし始めている。

台風20号最新進路(午後3時)

22日(火)午前3時、フィリピンの東で発生した台風20号。

午後3時現在、中心気圧は990hPa。中心付近の最大風速は20メートルで、中心の北側750キロ以内と、南側390キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いている大型の台風である。

今後の進路としては、23日(水)の午前中にかけて北上したあと、次第に西寄りに進路を変え、南シナ海に進む見込みだ。

日本への影響としては23日(水)に、沖縄の先島諸島の一部が強風域に入るとみられ、雨風強まり、大しけが予想される。

その後は列島から離れるルートなので、直接の影響はないとみてよさそうだ。

遠隔雷雨の可能性

ただ、油断はできない。23日(水)は、天気に影響を及ぼす寒冷前線が日本に近づいてくる。

この前線に向かって、高気圧縁辺を回る暖かく湿った空気と、大型の台風20号周辺の湿った空気が流れ込み、南西諸島から東日本にかけて、大気の状態が非常に不安定になる見込みだ。

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寒冷前線が通過するタイミングが不安定のピークとみられ、九州では23日(水)朝にかけて、四国や近畿では23日(水)の日中にかけて、東海でも23日(水)夜遅くにかけて雷を伴った激しい雨の恐れがある。今回は台風の直撃がなくても、離れた位置で激しい雷雨になるいわゆる「遠隔雷雨」に警戒してほしい。

台風接近に関する気になるデータが浮上

フジテレビ気象センターのデータ班が、10月に接近した台風を調べた。

すると、九州や四国といったいわゆる”台風銀座”の西日本ではなく、関東甲信が最も多かったのだ。

理由としては、太平洋高気圧の勢力と偏西風の位置が関係している。

2019年には台風19号が直撃

10月に関東に直撃した台風といえば、令和に元号がかわった、2019年10月の台風19号。

一時、「大型」「猛烈な」勢力にまで発達し、関東甲信や東北を中心に大きな爪痕を残した台風で記憶している人も多いのではないだろうか。

過去には初冬に本州上陸例も

気象庁が台風の統計をとり始めた1951年以降、最も遅い上陸は1990年11月30日。

和歌山県白浜町の南に上陸した台風28号だ。
日本列島に木枯らしが吹き、冬支度に追われる日本列島に襲来した台風だ。

2024年は来るのか?と聞かれたら断言はできない。

ただ、これまでの常識が通用しなくなり、過去類を見ない大雨や猛暑が相次いだ2024年。
台風の発生、接近にはまだ注視していただきたい。

樋口康弘(フジテレビ気象センター・気象予報士)

樋口康弘
樋口康弘

福島県福島市出身。東京理科大学理学部卒(数学専攻)。
アウトドアな趣味が高じて、SEから気象予報士に転身。(ちなみに趣味:スノーボード、登山、競馬、麻雀など※共通点は風を読むこと)
気象キャスター、気象ディレクター、デスク(気象災害部門)を経て、現職。座右の銘は「1分、1秒を大事に!」。
天気といえば「フジテレビ」、防災といえば「フジテレビ」、行動のきっかけは「フジテレビ」を目指して奮闘しています。