男性の育休取得が、企業により差があることが調査で分かった。
また、「不妊治療」の支援制度導入率は34.9%と低く、仕事との両立が難しい実態が明らかになった。
専門家は、職場の理解と心理的安全性の確保が、両立支援において欠かせないと指摘する。

男性育休の取得・両立支援に大きな差

子どもを産み、育てるサポート、皆さんの会社はどうなっているだろうか。

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住友生命保険が4月から7月12日まで調査を行った、全国834の企業・団体を対象とした「企業の福利厚生制度に関するアンケート」では、男性の育児休暇の取得割合を見ると、「対象者は全員取得している」という回答が9.1%だった。

一方で、「まったく取得していない」という企業は13.8%で、4割ほどの企業が「取得していない」、あるいは「取れているのは1割ほど」ということが分かった。

そして、働き手の確保にもつながる「仕事との両立に関する支援」については、法律で定められている以外で、実施している制度があるか尋ねたところ、最も高かったのが「病気の治療との両立支援」だ。

中でも、実施率が低かったのは「不妊治療」に関する制度で、34.9%にとどまった。

両立には安心して相談できる環境が必須

「Live News α」では、産婦人科専門医で、4人のお子さんを育てる母でもある稲葉可奈子さんに話を聞いた。

海老原優香キャスター:
ーー不妊治療も保険適用となりましたが、共働きの方も多い中、仕事と両立するにはどうしたらいいのでしょうか?

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
不妊などで悩む方をサポートしているNPO(民間非営利団体)「ファイン」の調査によると、仕事と不妊治療の両立に悩んだ際に、約4割の方は「退職」を選んでいます。

精神的につらくて、という面に加えて、特に女性は、月に何回も受診が必要になったり、急に受診の予定が決まることもあるため、仕事のやりくりが難しくなってしまう問題があります。

海老原キャスター:
ーー受診のやりくりに苦労される方も多いと思いますが、どのように対策すればいいのでしょうか?

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
例えば、時間休を取りやすくしたり、テレワークを可能とすることで、病院の待ち時間にも仕事ができると、業務への影響を最小限にできます。

それと、急に受診が必要になった場合でも、無理だと諦めずに、まずは会社の誰かに相談できることも大切です。

海老原キャスター:
ーーただ、職場で不妊治療について話しづらいと感じている方も多いですよね。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
不妊治療を続ける際に、職場の理解があることは大切です。同じくファインの調査によると、不妊治療をしている方の8割以上が、職場で不妊治療をしていることを話しづらいとしています。

オープンに話さなくてもいいのですが、必要な相談ができる環境であるというのは重要です。

もう1つ大事なのが、不妊治療を続けたり、そのことを相談することで、職場での評価が下がることはないという、心理的安全性の確保も大事なポイントになります。

男女の共通課題として社会全体で支える

海老原キャスター:
ーーもう1つ、不妊治療を女性だけの問題にしないことも大切ですよね。 

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
誰もが望めば、すぐ妊娠できるわけではありません。不妊治療をせずに済むに越したことはありませんので、妊活を先延ばしせずに済む組織や社会になることも重要です。

また、不妊治療をするにしても早いに越したことはありませんので、不妊の検査などは男性も足並みをそろえて、一緒に受けていただきたいと思います。

海老原キャスター:
制度の充実は大切ですが、それを利用できる職場の理解がないと意味がありません。
一方で、仕事の負荷が誰かに偏りすぎないよう、それぞれの事情に合わせた柔軟なサポートも必要なように思います。
(「Live News α」10月8日放送分より)

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