名古屋市で9月5日に起きた“覆面2人組”による住宅侵入の瞬間を監視カメラが捉えた。
門を乗り越えたところで住人が一喝したことで2人組は逃走、今回の被害はなかったが、この住宅は過去にも車上荒らしなど複数の被害に遭っていた。なぜ何度も同じ家が狙われているのだろうか。専門家と共に現場を検証した。
手に“バール”を握った2人組が門を開けようと…
名古屋市内の住宅に設置された防犯カメラ映像。

9月5日午後10時過ぎに映し出されたのは、長袖・長ズボン姿で帽子をかぶり、布のようなもので顔を隠した2人組で、手にはバールのようなものが握られている。
映像には不審者がガチャガチャと門を開けようとする音も入っていた。門に手をかけ、開けようと試みる2人組だったが、南京錠がかかっていて、門はびくともしない。
途中、2人組の後ろを自転車が通り過ぎるも手を止める素振りはない。

すると、ガチャンという音と共に1人が門を乗り越え、住宅の敷地に侵入し、もう1人もバールを預け、門を乗り越えた。

そして奥の玄関へ向かおうとしたその時…「コラ!コラ!」という大きな声が辺りに響いた。

突然の怒鳴り声に慌てた2人組は、慌てて門を飛び越えようとするが、1人が足をぶつけ、門の外へ転げ落ちる。
そして落としたバールを拾うと、近くで待機していた車に乗り込み、走り去った。

怒鳴り声の主は、この家の住人。なぜ侵入者に気づいたのか?
この家の住人:
モニターから門を飛び越えるガシャガシャって音が聞こえてきたんで。

この家では、防犯カメラ9台を設置していて、リビングルームにある数台のモニターで24時間常時確認できるようになっていた。

モニターはトイレにも置かれていたが、ここまで厳重な防犯体制をとっている理由について住人はこう説明する。
この家の住人:
5、6年前ですかね。車のガラスを割られた…。
5年前、自宅駐車場の車から、銀行の封筒が盗まれ、その2日後にも再び被害に遭った。
さらにその3カ月後にも侵入未遂があったと話す。
この家の住人:
今度若い子が2人。ちょうどモニター見たら門のところに2人中に入ろうとしてたんで、電気をつけたらもうびっくりして慌てて逃げたって感じでしたね。

そのため、防犯カメラを1台から9台に増やすなど、徹底的に対策を強化していたのだ。
しかし今回、再び侵入者が現れた。
元埼玉県警捜査一課刑事と現場を検証
「Mr.サンデー」は元埼玉県警捜査一課刑事・佐々木成三氏と現場を検証した。

元埼玉県警捜査一課刑事・佐々木成三氏:
ここですよね。ぱっと見ると防犯カメラ1台、2台。そして3台。
ここに「防犯カメラ設置推進地区」と(いう貼り紙が)ありますが、これを見た瞬間「いやいや、ここは入りづらいな」というか。僕だったらやらないですね。
専門家がこう話すにもかかわらず、犯行が試みられたのは、犯人が、素人を集めて強盗をさせる、いわゆる“トクリュウ”の可能性が高いからだという。

それを裏付けるのが、強盗が逃げる途中に門に引っかけたまま残されたイヤホン。
元埼玉県警捜査一課刑事・佐々木成三氏:
最近のトクリュウの手口では、指示役とリアルタイムで音を聞きながら指示をしながらやっているということなので。

9月から10月にかけ、首都圏で相次いだ緊縛強盗事件も、「トクリュウ」の犯行と見られ、複数犯でバールを使うなど、今回の事件と類似点があるという。
だが、なぜ同じ住宅ばかりが何度も狙われるのか?
元埼玉県警捜査一課刑事・佐々木成三氏:
何かしらのリストに載っているということは十分考えられると思いますね。
ターゲットとしてリストに名前が載り、それが出回っている可能性が高いという。
元埼玉県警捜査一課刑事・佐々木成三氏:
同じ指示役が5年続けているとは思えないです。違うグループも(リストを)手にしたとかそういう可能性もあると思いますね。
警察は、2人組が窃盗目的で侵入したとみて、捜査を進めている。
(「Mr.サンデー」10月6日放送より)