2024年7月の大雨で大規模な浸水被害があった山形・戸沢村蔵岡地区。9月26日、全世帯の9割以上が集団移転に賛成したと村が公表した。多くの賛同を得たが、加藤村長は「慎重かつ丁寧に進めていく」と話した。
無記名9割が賛成 集団移転の準備へ
7月の記録的な大雨で最上川がはん濫し、集落全体が水に浸かった戸沢村蔵岡地区。
この記事の画像(7枚)村は9月19日、地区の住民に新天地での生活を補償する国の制度「防災集団移転促進事業」を提案し、賛否を問う無記名のアンケート用紙を配布。
その上で、「集団移転には全世帯の同意が必要だが、7割以上の賛同を得られれば事業を進める準備に入りたい」と説明していた。
26日、戸沢村の加藤文明村長は「90%の賛成が得られたので、集団移転を進めていきます」と発表した。
多くの賛同を得られたことを受けて、村は今後、記名式の具体的な意向調査に移る考えを示したが、全世帯の同意を得るには、反対した世帯の説得が必要だ。
これについて、加藤村長は「何回も出向いて不安を取り除くことが先決かと思う。そこは時間を十分にかけてやっていきたい」と話した。
農地は…不安の声も「住居が優先」
一部の住民からは、移転者の土地の買い取り対象に農地が含まれていないことなどへの不満の声も上がっている。
集団移転に反対の住民は、「今は移転しない、家を直しているから」と言い、反対する気持ちは変わらないと話す。一方で、「7割が賛成して集団移転の話がまとまるなら反対する気はないけど。話を聞いた上で最終的な判断をする」と語った。
こうした声について、加藤村長は以下のようにコメントした。
戸沢村・加藤文明村長:
私も農家の生まれで、不安に思っている方々の気持ちも十分わかる。農地・住居対策のどちらを先行するのかと問われれば、住居再建を優先して進めていく。
ほとんどの住民が「集団移転」を選択した蔵岡地区。
村は移転先として、名高地区の村中央公民館周辺や津谷地区の新庄古口道路乗り入れ口付近を候補地として挙げていて、今後行われる意向調査で住民の希望や意見を聞いていく方針だ。
(さくらんぼテレビ)