ジャーナリズムを学ぶ関東の大学生が2024年8月に沖縄を訪れ、基地問題の現状や沖縄戦の歴史について理解を深めようとさまざまな場所を巡った。

学生たちが自分の目で沖縄を見て何を感じたのか取材した。

ここでしか学べない思い 熱量を学びたい

沖縄を訪れたのは、専修大学ジャーナリズム学科のおよそ30人。フィールドワークを通して沖縄の今を自分たちの目で見つめる。

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左近美穂さん(埼玉県出身):
自分の考えを確立させていく上での一助となるような、実りのある実習にしたいなと思っています

小池佳欧さん(山梨県出身):
米軍基地問題は今回一番のキーワードになると思うんですけど、ここでしか学べない思いとか熱量とかを学びたいなと思っています

沖縄出身の学生は、改めて故郷を見つめ直そうと参加した。

平良朱音さん(宜野湾市出身):
大学でジャーナリズムを学んでいく上でメディアが社会問題、基地や戦争の後に残っている問題などを取り上げることがいかに重要かというのが分かったので、もっと私たちも関心を持って考えていかないといけないなと思いました

なぜ抗議の声をあげるのか

普天間基地の移設工事が進む名護市辺野古のアメリカ軍キャンプシュワブのゲート前。

抗議の声もむなしく、埋め立て用の土砂を積み込んだ車両は続々と基地の中へ入っていく。

この日は、午前中に普天間基地にも足を運び、アメリカ軍の司令官から基地の役割などについても話を聞いた上で抗議の現場を訪れた。

左近美穂さん(埼玉県出身):
これだけ県民が反対の声をあげても未だ止められないこの現状を目の当たりにして、自分が思っているよりも複雑だなというところをまず感じました

山田早紀さん(うるま市出身):
私ってこんなに沖縄のことを知らなかったんだということを今回すごく思い知って、こうやって現場に立つと、もっと知らなきゃと思いました

 なぜ抗議の声をあげるのか、直接聞くのはジャーナリズムの基本である。

抗議活動をする女性:
もともと普天間基地は沖縄戦の時にみんなが住んでいたところに米軍が勝手に造ったので、住民が帰ってきたら自分たちのところは基地になっていた。泥棒が「盗んだものを返せ」と言われたら返すかわりに、代わりの物をよこせと言っているのと同じだと沖縄県民は思っています

平良朱音さん(宜野湾市出身):
身近に見るとやっぱり苦しくなるなと思います。沖縄県民として私だからできることをやりたいなと思って、もっと勉強したいなと思いました

市民の声に向き合おうとせず、国策の名のもとに工事を強行する政府の姿勢を目の当たりにした。

戦没者の遺骨収集のボランティアを訪ねる

埋め立てに使う土砂をめぐり、反発の声をあげるのが戦没者の遺骨収集を続ける具志堅隆松さん。

遺骨収集ボランティア ガマフヤー 具志堅隆松さん:
激戦地の南部の土砂を辺野古の埋め立てに使う、そういう計画を打ち出したんですよ

政府は、戦没者の遺骨が混じる恐れのある本島南部の土砂を辺野古の埋め立てに使うことを検討しており、土砂の採掘場所から遺骨が見つかった場合は作業を中断するとしている。

しかし、土の中から遺骨を見つけ出すのは簡単なことではない。

遺骨収集ボランティア ガマフヤー 具志堅隆松さん:
この中もまだ残っています。ひとつは石、ひとつは骨

小池佳欧さん(山梨県出身):
骨なのか石なのか、どっちなのかわからない

小池佳欧さん(山梨県出身):
今後こういう活動を続けていく上でもっとメンバーを増やしていきたいという方針があったら教えていただきたいと思いました

遺骨収集ボランティア ガマフヤー 具志堅隆松さん:
メンバーを増やしたいというよりは、まず、戦争を起こさせたくない

さらに具志堅さんは、「弱い立場の方たちの問題を吸い上げ、それが解決に繋がるような報道陣になってくれることを期待します」とも語った。

ジャーナリズムの負の歴史に向き合って

最後に訪れたのは対馬丸記念館。

太平洋戦争末期、学童疎開船・対馬丸がアメリカ軍の潜水艦に撃沈され、多くの命が失われた事件から2024年で80年となった。

対馬丸記念館 平良次子館長:
対馬丸が攻撃されて沈み、たくさんの犠牲者を出した。幾人かの生存者がいたという事実を秘密にされたんですね。私たちとしては、まず忘れないこと。これからも掘り起こして分かる事実をかき集めること。そして、一番の目的は同じことを二度と繰り返させないという力になること

情報統制によって国民を戦争に駆り立てたジャーナリズムの負の歴史とその使命を改めて考えさせられた。

山田早紀さん(うるま市出身):
自分たちも自分たちなりにできることを考えなきゃいけないなと思いましたし、本当に伝えていくことが大事なんだなということを、今回すごく感じさせられる5日間でした

対馬丸記念館の平良館長は、「知らないよりは、知っていてよかったということが力になると思うので、重く感じず頑張ってください」と声援を送った。

自分の目で見て知り感じたことをどう伝える

フィールドワークを企画した山田教授は現地で直接見て話を聞き、事実を知ることが重要であると話す。

専修大学 山田健太教授:
私たちには伝える、いわゆる使命感があるんだという思いを持つ学生が非常に多かったというのがとてもうれしいと思っています

小池佳欧さん(山梨県出身):
知るということ、忘れないということも一つの解決のきっかけになると思うので、自分が社会問題に対して、積極的に知ることを怠らないようにしようと思いました

左近美穂さん(埼玉県出身):
正直まだまだ問題が今でもすごく残っているんだなという現実を目の当たりにしたというか。私は将来メディア志望なので、学び続ける意欲を大事にしたいなと改めて強く思えた5日間でした

自分の目で見て、知り、感じたことをどう伝えていくのか。未来のジャーナリストたちが社会を変えるきっかけを生み出していくかもしれない。

(沖縄テレビ)

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