東京ビッグサイトで18日から、最新ロボットの展示会が開催され、巨大重機ロボットや中小企業向けのプログラム対応ロボットが集結した。
専門家は、日本のロボット産業の強みとして、技術の「すり合わせ」による競争力を挙げている。

巨大ロボットから中小企業向けまで大集合

人手不足の対策として期待される、働くロボットたちが集まった。

アニメから飛び出したような巨大ロボット
アニメから飛び出したような巨大ロボット
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どんなものも見逃さなそうな目に、どんなものもつかみそうなアーム、まるで、アニメから飛び出したような巨大ロボットだ。

東京ビッグサイトで18日、最新のロボットが集まる展示会「Japan Robot Week 2024」が始まった。

こちらの巨大ロボットは、人間に代わり鉄道工事などを行う人型重機ロボット「零式人機 ver.2.0」で、目線も手の動きも、体の一部のように、軽い力でスムーズに動かすことができるという。

労働災害の減少を目指すロボット
労働災害の減少を目指すロボット

人手不足の解決が期待されているだけではなく、遠隔操作で高所作業を可能にするなど、労働災害の減少を目指す。

JR西日本で導入されたロボット
JR西日本で導入されたロボット

JR西日本では、鉄道設備のメンテナンスに7月から本格導入し、12メートルの高さで、重たい部品を取りつける作業などに利用している。

身近に取り入れやすいものでは、小学生でも利用可能なプログラミングで、技術者がいない企業でも、設備を簡単に導入することができるロボットも展示された。

簡単なプログラミングだけで、部品の点検などを可能にしたロボットアームサービス「DOBOT」は、さまざまなエンジニアを雇いたくても雇えない中小企業での導入を進め、ロボット作業が当たり前な製造業界を目指す。

アフレル Robotics事業部・甲斐聡さん:
ロボットに対する抵抗感を下げ、できるだけシンプルで使いやすい設計にして、工場以外の縁がないユーザーも日常で当たり前のように使えることを実現したい。

人手不足を解消するロボット
人手不足を解消するロボット

「人とロボットが共生する社会」へ向け、社会課題を解決するロボットのさらなる進化が期待される。

「メカトロニクス」とIT技術の融合で成長

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーーロボットの製造で日本は、世界でどんなポジションにあるのでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
産業用のロボットは、今でも日本が強い国際競争力を持っています。日本は、そのロボットを使う製造現場も多いです。

つまり、大きな市場もあるため、日本の産業用ロボットは著しく成長を遂げて、世界シェアの約半分を占めています。産業用のロボットは、日本のものづくりの強みがよく発揮された分野の1つなんです。

堤キャスター:
ーーその強みとは、どういうものなんでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
メカトロニクスという言葉があります。これはメカニクス(=機械工学)と、エレクトロニクス(=電子工学)を組み合わせた言葉です。

このメカトロニクスに加えて、ITの技術も組み合わせて今日のロボットが作られています。日本はさまざまな技術の「すり合わせ」が巧みで、これがロボット作りに生かされているんです。

巧みな「すり合わせ」がロボット製造支える

堤キャスター:
ーー「すり合わせ」というと、異なる意見をまとめる際に使われますが、ものづくりの現場でも行われているんですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
技術の「すり合わせ」は、必ずしも効率的ではありません。そのため、欧米のものづくりは、完全に独立した分業をベースにする傾向があります。

これに対して日本は、さまざまな部署が協力し合い、お互いに干渉しながらも、巧みな調整する「すり合わせて」をして、ものをつくるのが得意なんです。

部品と部品の関係を、極限まで調整して最適解を求めるので、部品点数が多くて複雑な製品。まさに、ロボットや自動車などが国際競争力を維持している背景には、この「すり合わせ」の巧みさがあります。

堤キャスター:
ーー組み合わせの調整が得意というのは、どこか日本らしいですよね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
効率性だけではない、複雑な調整の先にある優れたものづくりは、今でも日本が世界に誇れる経営の1つの特徴といえます。

「失われた30年」という言葉があり、日本の産業全体が自信を失いかけている節もありますが、こうした日本の良さを再確認する、そんなきっかけにこの展示会がなるかもしれませんね。

堤キャスター:
人手不足などを受けて、ロボットの力を借りる場面が増えていくはずです。
日本のものづくりが、自信を取り戻していくきっかけが生まれることを期待したいです。
(「Live News α」9月18日放送分より)