長野県内ではクマにによる人身被害が相次ぎ、目撃件数も多いことから県は初めて「出没警報」を出した。佐久、上伊那、木曽、北アルプス、北信の5圏域が対象で、人里に近づけない対策を強化する。
1日に3人襲われる…
今年増加しているクマの目撃件数。8月末までに1067件で2023年の同じ時期を176件上回っている。
この記事の画像(6枚)人身被害も相次ぎ、9月5日は松川村と安曇野市で3人が襲われけがをした。今年度は10件・11人に上りこのうち人里でも5件と過去最多となっている。
県内初「出没警報」
こうした事態を受け、県は9月9日、対策会議を開き、初となる「ツキノワグマ出没警報」を出した。
対象は目撃件数が平年より特別多くなっている佐久・上伊那、木曽、北アルプス、北信の5圏域。期間は10月14日まで。
大量出没した時と似た傾向
専門家は過去夏に大量出没した時と似た傾向になっていると指摘している。
信州ツキノワグマ研究会は岸元良輔代表は「駆除したクマがお米を食べていた。大量出没時の特徴ではある。餌不足の時に平地に下りてもみを食べる」と話した。
5圏域ではパトロールを強化する。目撃や人身被害があった集落周辺などで注意を呼びかけ、出没経路となる河川沿いなどでクマが隠れやすい藪などがないか点検するとしている。
また、県民に対しては県のホームページで公開している「出没マップ」を確認するなどして出没した場所や時間帯を避けて行動することや放置された果樹や生ごみなどの誘引物の除去を呼びかける。
パトロールを強化
当初、「警報」発令時はお仕置きして山に返す「学習放獣」を一時休止し、捕獲・駆除を優先させることも検討するとしていた。
ただ、現段階で今年、ドングリなどの実は「凶作」にはならない見込みで、10月ごろには目撃件数も落ち着くのではとの専門家の見方もあり、今回は「パトロールの強化」などに対策をとどめた。
9月下旬から10月には出没収まるか
信州ツキノワグマ研究会の岸元良輔代表は「地域によって差はあるが全体的には餌は『並作』だと。9月下旬から10月になればクマの出没が収まってくると思う。さらに出没が大変であれば、その時点でまた警報の延長も」との見解を示した。
なお、警報が出た圏域以外でも「注意報」が出ていて県が改めて注意を呼びかけている。
(長野放送)