茨城県の県道沿いにそびえ立つ“不法投棄マウンテン”。撤去に3億円の税金がかかるという。
元々は資材置き場。土地所有者の倒産で…
茨城・石岡市に向かった取材班。
この記事の画像(22枚)車で生い茂る木々の間を抜け、県道を走ると突然、目に入ったのは不法投棄された“廃棄物の山”だ。
「奥の木々の上から廃棄物が見えています。かなり高いですね。ずらーっと廃棄物が入っている袋が並んでいますね」
さらに、徒歩で現場に近づくと積まれた廃棄物の“異様な高さ”が際立ち、フェンスより高く積まれているので、遠目からもはっきり分かる状態だ。
身長が174cmの広瀬修一キャスターと比較すると、廃棄物の山の高さは、その約5倍の8~9mほどの高さだろうか。
10年前に撮影された画像を見ると、ほぼ空き地の状態だったこの場所。
現在は“不法投棄の山”になっていることについて、地元の前区長はこう話す。
ーーあの場所は?
地元の前区長:
(元々は)工場の資材置き場だったんですけど、倒産したかなんかで転売したみたいで、(その後)やり放題やられちゃったので。
ーー誰があそこに捨てに来る?
地元住民:
誰って分からないですよ。それが夜に(廃棄に)来るっていうんですよ。
4年前頃から始まり今や“不法投棄マウンテン”に
茨城県によると4年前の秋頃から、複数の業者による不法投棄が始まったという。
許可を得てドローンを飛ばし、上空から見ると、広大な敷地を廃棄物が埋め尽くし、約250mに渡る“不法投棄マウンテン”がそびえ立っていた。
何が捨てられているのか見てみると、エアコンのフィルターやケーブルのようなものが多く捨てられていて、砕けたプラスチックが山のようになっている。
茨城県によると、廃棄物の多くは電線の保護被覆やエアコンを砕いた「廃プラスチック類」だという。
さらに“不法投棄マウンテン”は崩れて落ちてきている様子もあり、周辺の道路をよく見ると、プラスチック片のようなゴミが無数にあった。
有害物質が流出する危険はないというが、近隣住民からは「困ることはやはり危険性。危なくて台風なんかの時に通りづらい」と不安な声が聞かれた。また「崩れる恐れがあり、危ない」として“撤去を求める声”が上がっていた。
隣接する道路を歩くと、塀の反対側にある廃棄物に押されてだろうか、塀が斜めになって倒れかかっている場所もあった。
約3億円かけ茨城県による過去最大規模の行政代執行へ…
県は業者に対し、廃棄物を撤去するよう指導を重ねてきたが、2024年3月までに撤去されたのは、全体の約2割だけ。そこで茨城県は、9月中にも行政代執行による廃棄物の強制撤去を行う方針を固めた。
撤去する量は約1万2000立方メートルで、かかる費用は約3億円とみられ、茨城県では過去最大規模の行政代執行となる。
地元の前区長:
もちろん嬉しいですよ。関係者みんなで祝杯あげましたよ。
しかし、不法投棄の撤去に3億円もの税金を投入することに、県民からは「(費用が)高いと思います。笠間市民には意味のない3億円」「税金って、皆が払っているお金で(撤去)することになる。それはおかしいと思います」といった疑問の声も上がる。
茨城県は「産業廃棄物を一刻も早く撤去し、生活環境保全上の支障と住民の不安を解消したい」としている。
(「イット!」 9月5日放送より)