10月19日と20日、福井県内で初めてとなる将棋の「竜王戦」七番勝負の第2局が行われる。藤井聡太竜王の防衛戦に備え、会場となる温泉旅館は2000万円をかけて部屋を改修。飲食店は自慢のメニューが“勝負めし”になるか期待を寄せている。
約2000万円で宴会場を改装
対局会場となるのは、あわら市の温泉旅館「美松」。竜王戦の対局室に入ってまず目を引くのが壁一面に走る竜のデザイン。竜王戦や福井の恐竜のイメージからあしらわれた。壁面には越前和紙を使用していて、伝統工芸のPRにも力を入れている。

将棋界で最高位のタイトル戦にふさわしい会場を用意しようと、6月から約2000万円かけて宴会場だった部屋を改装した。棋士の気が散らないように壁などの色を落ち着いた基調にし、エアコンの遮音性にも力を入れたという。対局が10月開催ということで、部屋の障子は紅葉柄になっている。

温泉旅館・美松の前田健二社長は部屋の仕上がりについて、「全国に放送される部屋でもあるので、竜の絵を見ても分かるがふさわしい部屋にできあがったと思う」と話す。

部屋の名前は公募の結果、「竜悠(りょうゆう)」に決定した。落ち着き、動揺しないとの意味がある「悠」と、2人の英雄を意味する「両雄」と同じ音でもあることから選ばれた。
30畳ある部屋では、4連覇を狙う藤井聡太竜王と、挑戦者の佐々木勇気八段が対局する。
“勝負めし”にも地元グルメ
対局以外の注目は、棋士が味わう“勝負めし”。午後0時半から始まる昼食に“勝負めし”とドリンクを提供することになっていて、“勝負めし”メニューは18品ある。このうちの1つが「熟成鯖勝つカレー」だ。

サバは一夜干しで味を凝縮させたものを揚げ、大胆にトッピング。若狭牛を煮込んだカレーと、藤井竜王が好きだというバターライスに合わせて洋食風に仕上げていて、越のルビーや地元産の野菜も一緒に味わうことができる。

そして対局の合間には、おやつも欠かせない。メニューに掲載されるおやつは12品。このうちの1つが市内のブッセ専門店「Bon bons しずく」の、あわら産のサツマイモ「とみつ金時」を使ったブッセ。

とみつ金時と紫芋のクリームをしっとりふわふわの生地にサンドしている。店をオープンした2年前から秋の人気商品で、2024年も9月から店頭に並ぶ。
Bon bons しずくの籔加江さんは「地元のイモを使っていて、オープン時からあるメニュー。ぜひ棋士の方に選んでほしい」と期待を寄せている。
あわら市に活気を 地元旅館の挑戦
3年間、新型コロナウイルスで観光客を失ったあわら温泉。竜王戦の誘致は、地元に活気を生むための挑戦でもある。

温泉旅館 美松・前田健二社長:
あわら市の市政20周年と新幹線開業を全国に情報発信するのに、竜王戦は十分なコンテンツ。私自身も腹をくくってやらなければならない部分はあった。福井県、伝統工芸、あわら温泉を知ってもらうきっかけになれば。
竜王戦の後、対局室の宿泊利用はせずに貴賓室となる予定で、婚約の際の両家の顔合わせなど、冠婚葬祭で利用できないかという問い合わせが多く、美松は前向きに検討したいとしている。
竜王戦七番勝負・第二局は、10月19日と20日にあわら温泉・美松で行われる。
(福井テレビ)