6年前、大阪府羽曳野市の路上で男性を殺害した罪に問われている男の裁判員裁判が8月28日結審した。
直接証拠がない中、裁判員は難しい判断を迫られている。
■刃物が肋骨と肋骨の間を通り心臓に 住宅街での殺人事件

6年前、羽曳野市の住宅街で会社員の平山喬司さんが刃物で刺され殺害された。
司法解剖の結果、確認された傷は背中に一カ所のみ。

横向きに刺した刃物が肋骨と肋骨の間を通り、心臓に達していた。
現場周辺に停まっていた車のドライブレコーダーには、襲われた直後の平山さんの声が記録されていて、法廷でも再生された。

(Q最後の声を聞いたときは?)
平山さんの長男:『待て、コラー!』というのは、一番怖いときの父親の声。 あれが(法廷で)流れたときは涙がこみ上げてきました。めっちゃ辛かったんやろうなと。
周辺に設置された防犯カメラなどの映像には、住民以外の姿は映っておらず、警察は犯人を近くに住む人と判断して捜査。
■カメラなどから浮上した被告 直接証拠がないまま事件から4年後に逮捕・起訴

ドライブレコーダーに映っていた犯人の体形と似ていたことなどから、山本孝被告(48)が捜査線上に浮かび上がった。
山本被告は隣人の女性と植木鉢の置き方をめぐりトラブルがあり、その女性が被害者の平山さんと交際していたことから動機もあると判断。
事件から4年後、凶器などの直接証拠は見つかりませんでしたが、山本被告は逮捕、起訴された。
■山本被告は一貫して無罪主張も 検察側は有期刑で最も重い「懲役20年求刑」

そして、ことし6月から始まった裁判。
山本被告:私は犯人ではありません。
捜査段階から山本被告は一貫して無罪を主張。
一方で検察は28日の裁判で「山本被告は犯行時刻ごろに外出し、犯人と身体的特徴が概ね合致する」と指摘。
さらに「被告人は隣人女性とトラブルになっていて平山さんを殺害する動機がある」と述べて、有期懲役刑で最も重い「懲役20年」を求刑した。

対する弁護側は、カメラに映らずに犯行現場へ行くことができるあぜ道などがあり、住民の犯行という前提が間違っていると反論。
「推論に基づく捜査を4年間行って、裏付けとなる証拠が存在しなかった」と無罪を主張した。
■山本被告は「私はやっていません。私はやっていません」と繰り返す

山本被告は最後にこう訴えかけました。
山本被告:私から言いたいことはひとつだけです。 私はやっていません。私はやっていません。

事件から6年、捜査機関が積み上げた間接証拠は有罪か無罪、どちらの結論を導くのか。
判決は、9月27日に言い渡される。
(関西テレビ「newsランナー」2024年8月28日放送)