能登半島地震による大きな揺れで、音がゆがんでしまったピアノ。「助けてほしい」と託されたのは福島県の調律師だった。数々の被災ピアノを手掛けてきた調律師は、復興への思いも込めて音色復活への修復を続けている。
再び命を吹き込む調律師
「地震の縦の揺れと横の揺れは音の狂いに繋がる」と話すのは、福島県いわき市のピアノ調律師・遠藤洋さん。東日本大震災で津波被害を受けたピアノの修復も手がけてきた遠藤さんは、いま1台のピアノと向き合っている。

ピアノのふるさとは石川県輪島市。能登半島地震で中規模半壊の判定を受けた住宅だ。
地震の揺れで内部にズレが生じ、音がゆがんでしまったピアノ。持ち主の女性は、被災ピアノを直し続ける遠藤さんに望みを託した。

託された大切なピアノ
ピアノを見た遠藤さんは「溝がすごかったので、これはやりがいがあるなと思った。このピアノは間違いなくよくなります、良いピアノですよ」と持ち主に伝えた。

ピアノを助けてほしい…その思いを受け取った遠藤さんは「何かしてあげたいって、誰もがそういう思いはある。ピアノを通して一つでも役に立つことができるかな」と語った。
復活したピアノが力になれば
ピアノをいわき市に持ち帰った遠藤さんは、早速一つ一つの音を丁寧に調整。弾き心地も滑らかになるよう、劣化した部品も新しくした。

遠藤さんは「ピアノも震災を乗り越えることができた。人間も一緒だって重ね合わせることが出来たら、このピアノを直してよかったなって思う」と話した。

このピアノの音色が、復興の姿を明るく照らし出すように。修復されたピアノは9月に能登に戻る予定だ。
(福島テレビ・石川テレビ)