世界で2番目に標高が高い「K2」で長野県富士見町出身の登山家・平出和也さんら2人が滑落した遭難。所属先の石井スポーツは22日、公式サイトに事故の最終報告を掲載。「追悼の意」を表し、2人が亡くなったとの見解を示した。

「登山界のアカデミー賞」に輝いた平出さん 「K2」に挑むも…

平出和也さん(45)は中島健郎さん(39)と共に、パキスタン・カラコルム山脈の「K2」(標高8611メートル)の未踏壁に挑んだ。平出さんは「登山界のアカデミー賞」と言われる「ピオレドール」を日本人最多の3度受賞している。

左:平出和也さん 右:中島健郎さん(提供:石井スポーツ)
左:平出和也さん 右:中島健郎さん(提供:石井スポーツ)
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7550メートル付近で「1000メートル滑落」

所属先の石井スポーツの最終報告によると、現地時間7月27日午前5時過ぎ、2人から「第二バンド偵察に向かいます」とのメールが。そして午前7時ごろ、2人が「K2」西壁の標高約7550メートルの地点で「氷とともに1000メートル以上滑落した」ところを、現場スタッフが目視で確認したという。

写真は中島さん撮影。赤線は登はん予定ルートとして中島さんが記入(提供:石井スポーツ)
写真は中島さん撮影。赤線は登はん予定ルートとして中島さんが記入(提供:石井スポーツ)

2人を確認するも…救助断念

当日午後、パキスタン軍のヘリに別登山隊の隊長が乗り、上空から確認。「2人はメインロープで繋がって、標高約6300メートル付近にいる」「クレバスがたくさんあり、とても危険で救助は難しい」との報告があった。

その後も救助が検討されたが、2人に動きがないこと、ヘリが着陸できないこと、上部に崩落の可能性があるセラックがあって二重遭難の恐れもあることなどから、家族などとも相談の上、救助は断念されたという。

K2(提供:石井スポーツ)
K2(提供:石井スポーツ)

「哀悼の意」全文

「2024年7月27日、平出和也と中島健郎によるK2西壁未踏峰ルートのチャレンジは、両名の滑落という事故により終了することとなりました。下記報告をご心配をおかけした方々へ向けた最終報告として、今回のK2プロジェクトを終わりたいと思います。

両名は数々の未踏ルートにチャレンジし、日本のみならず世界の登山界に大きな功績を残しております。その成果は私たちにも大きな影響を与え、多くの人々から敬愛され信頼をされておりました。平出和也と中島健郎が遺した功績は、これからも登山業界の指針となり続けます。ここに両名の活躍を称え、追悼の意を表します」

平出和也さん(提供 石井スポーツ)
平出和也さん(提供 石井スポーツ)

(長野放送)

長野放送
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