忙しい時でも、ホカホカのご飯が食べたい!そんな要望に応えてくれるのが、炊飯器の「予約炊飯」機能。
しかし「長時間、お米を水に浸したままでいいの?」という疑問がふとよぎったことはないだろうか。
たとえば、夜10時にセットして翌朝6時に炊き上がるようにした場合は、米は8時間もの間水に浸かっていることになる。特に厳しい暑さが続く夏場は、途中から水もぬるくなってしまっていることだろう。腐ってしまうのでは?という疑問の他に、そんなに水に浸けていたらやわらか~い炊き上がりになってしまいそうと思ってしまう。
では実際に「お米を長時間水に浸けっぱなしだと、腐ってしまう」「やわらかい炊き上がりになってしまう」ということはあるのだろうか。圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」などを製造・販売する、象印マホービン株式会社に話を聞いた。
時間がかかる場合は「冷たい水を」
――「予約炊飯」は何時間まで使うことができるの?
夏場は水温も高くなりお米の腐敗が早くなりますので、タイマーを使っての予約炊飯は、米の浸しすぎによる腐敗を防ぐため、予約時間は8時間以内を目安としています。冬場の場合は、13時間以上の予約はしないでください。
――「夏場は8時間」「冬場は13時間」という目安の時間は、炊飯器の種類や型番などで差はある?
どの炊飯器でも予約時間の目安は変わりません。
――冬場でも13時間が予約炊飯の目安。それ以上の時間が設定できるのはどうして?
おいしさのことを考えて推奨するのは13時間ですが、利便性を重視される方に向けて、時間設定は13時間以上できるようにしています。お客様のニーズに合わせることも企業として重要であると考えています。

――予約時間が長いと、米がやわらかくなってしまうなどはある?
タイマー予約をするとお米が水を余分に吸うため、炊き上がりがやわらかくなったり、ぬかが底にたまり、焦げたりする場合があります。
――予約時間がだいぶ先になってしまう場合に、できることはある?
取扱説明書に記載の通り、夏場に予約炊飯を使用する場合は8時間以内を目安にしてください。予約時間が長くなってしまう場合は、なるべく部屋を涼しく保ち、よく冷えた水を使うようにして下さい。
炊き上がり直後に「ご飯をかき混ぜる」ことも大事
また象印によると、炊き上がったご飯をすぐにほぐさずに放置すると、余計な水分が残ったままになり、ご飯がべたついて固まったり、焦げたりする原因になるという。たとえば「10時間後にご飯が炊けている状態」にしたいときでも「8時間後の予約炊飯+2時間保温してから、食べる直前にご飯をほぐす」などはおすすめできないそうだ。
そんな場合は「予約機能にこだわらず、早炊きメニューの使用や、事前にご飯を冷凍しておくなど、ライフスタイルに合わせて炊飯ジャーを活用し、おいしいご飯をお召し上がりいただければと思います」とのことだった。
他にも、夏場に知っておきたい「ご飯の保存方法」を聞いた。
――炊き上がったご飯を「保温」モードで保存する場合は、どのくらいの時間までが目安?
品番により保温時間が定められていますので、その時間が安全に・おいしく食べられる基準になります。当社では、保温経過時間に応じて温度をコントロールすることで、品番によって24時間~40時間保温可能な商品がございます。
――ちなみに、長時間保温していると黄色くなったりにおいが出るのはなぜ?
ご飯が黄色くなるのは、お米に含まれる糖とアミノ酸が反応して褐色物質が生じる「メイラード反応」という現象によるもので、保温する温度が高すぎることが原因です。
逆に温度が低すぎると、保温特有の匂いが出てきます。炊飯器の取扱説明書に記載されている保温時間でお召し上がり下さい。
――他に、お米の保存方法で気を付けたいポイントはある?
生のお米は一見、腐りそうもなく長期間保存できる印象がありますが、実は、精米直後から酸化が進み、徐々に本来の風味が損なわれていきます。お米の収納場所としてよく使用される家庭の台所は、お米の貯蔵には悪条件の場合が多いので、少量での購入や密封容器で冷蔵庫に保存するのがおすすめです。
まだまだ厳しい暑さが続くが、健康に過ごすための食事が“逆効果”になってしまっては困りもの。予約機能を正しく使って、おいしく安全な食事を楽しんでほしい。