金メダル獲得に向けてトレーニングに励む、高知市出身のレスリング日本代表・清岡幸大郎選手に密着。先輩やライバルと鍛錬しながら、レスリング人生の全てをかけて戦うというオリンピックへの強い思いがあった。
パリ五輪を前に“ワクワクドキドキ”
レスリング男子65kg級の日本代表である高知市出身の清岡幸大郎選手(23)は、兵庫の三恵海運に所属し、レスリング日本一の強豪である神奈川の母校・日本体育大学を拠点に、パリオリンピックに向けてトレーニングに励んでいる。
この記事の画像(17枚)清岡選手はオリンピックが近づいていることについて、「緊張とか気負いというのは全くなくて、自分が夢を実現させるまでどんどん迫ってきているなと。ワクワクドキドキしてるっていう気持ちの方が大きいです」と心境を語った。
レスリングを始めたのは4歳の時で、高知レスリングクラブの桜井優史さんの指導の下、インターハイ優勝など数々のタイトルを獲得した。2024年4月、キルギスで行われたアジア選手権準決勝で勝利し、パリオリンピック出場を決めた。
「ちゃんと目標を持って、それを必ず達成すると信じて努力をすれば、夢や目標は達成できるんだなと感じている」と清岡選手は語る。
リオ五輪銀メダリストの先輩と練習
この日の練習のパートナーは、先輩でリオオリンピック銀メダリストの樋口黎選手(28)。樋口選手も清岡選手とともにパリ大会に出場する。
樋口選手は、清岡選手との練習について「組手であったり、カウンターであったり、タックルのアタックであったり、全体的に平均してかなり高いレベルの技術を持っているので、どうやってあの強い選手からポイントを取ろうか、毎日試行錯誤しながら練習しています」と話す。
今の課題は、“攻撃を仕掛けた際に隙を突かれポイントを奪われないこと”だという。
清岡選手は「発見の連続というか、突き詰めて追求したと思ってもまだ全然できてなかったりする。そこの奥深さはなかなか伝わりづらい部分ではあると思うんですけど、そこが自分の中での楽しさの一部ですし、本当にきついことでもそれが実際に自分の成長につながることだって考えると、楽しみながらできる」と、オリンピックを目前にして、レスリングにかける思いがますます高まっている。
清岡選手は大学近くのマンションで、同僚の高橋夢大選手と2人暮らしをしている。学生時代は大学の食堂を利用していたが、今は専ら自炊をしているそう。
清岡選手は日頃からタンパク質を多くとることを意識していて、この日のメニューは高知の祖母から送ってもらった七面鳥の炒め物だった。料理のモットーは、“疲れないようにすること”だという。
ファッションにも関心が高い清岡選手に、「好きなラッパーがいて、そのラッパーがよく着ているブランド」だというお気に入りの服を見せてもらった。
大事な試合の前は買い物をして自分に発破をかけるという清岡選手は、「やっぱ服とか買ってお金使ったら気持ちがあがるというか、また頑張ろうってなる」と話した。
レスリング人生の全てをかけて戦う
6月2日には、高知市でオリンピックに向けての壮行会が開かれた。高知南高校の同級生で、ともにパリ大会出場を決めた桜井つぐみ選手(22)も一緒だった。
2人は幼いころから切磋琢磨(せっさたくま)し合った特別な関係である。
清岡選手は、1番のライバルである桜井選手について「彼女が結果を残せば自分はすごく悔しくて、悔しいから頑張れるし、逆もそうで。諦めない要因になったというか、(オリンピック出場に)欠かせない存在だったなって思います。今回も先に彼女の方が試合をするので、また多分先に優勝を決めて僕にプレッシャーをかけてくれると思うので、その力も使って最後に優勝という形を残せたら最高かなと思います」と話し、桜井選手に信頼と期待を寄せていた。
高知で行われた壮行会でタレントの豊ノ島さんが公約したことが、6月19日に東京で実現した。
友人でレスリング金メダリストの吉田沙保里さんを誘い、清岡選手と桜井選手を食事会に招いた。後輩2人への激励だ。
Xには、豊ノ島さんから「パリで大暴れしてこい!帰ってきたらまた、メシ行こう!」というメッセージがあった。
オリンピックでは、これまでのレスリング人生全てをかけて戦うという清岡選手。家族や後輩たち、応援してくれるみんなの声援を力にパリへと乗り込む。
清岡選手は「パリオリンピックでの主人公になる。1番最後の日に衝撃を残して優勝したいと思うので、高知の力をフランスのパリに向けて送ってくれるとうれしいです」と、パリ五輪での目標を語った。
清岡選手が出場する男子フリースタイル65kg級は、8月10日・11日、パリオリンピック最後の2日間に行われる。
(高知さんさんテレビ)