長崎市で動物やアニメ、歴史上の人物を本物そっくりに作るおじいちゃんがいると聞いて制作現場をのぞいてみた。使っているのは「ペットボトル」などの廃材。嬉しそうに作品を説明するおじいちゃん、「子供に喜んでほしい」という気持ちが制作意欲をかき立てている。
廃材を自在に操る名物おじいちゃん
アパートの一室で制作に励むのは合力政和さん76歳。合力さんは近所では有名な名物おじいちゃんだ。
この記事の画像(12枚)朝はボランティアで近所の沿道を清掃し、時には公民館で子供たちと遊ぶ。そんな“名物おじいちゃん”合力さんが日々手掛けているのは「ペットボトルアート」だ。
合力さんがペットボトルアートを始めたのは約6年前。夏休みの自由工作に頭を悩ませる近所の子供たちのために、ペットボトルで作品を作って見せたのがきっかけだ。
6畳一間の一室の壁面には所狭しと自慢の作品が並ぶ。
「ペットボトルアート」とは文字通り、ペットボトル容器を素材に作品を制作する。合力さんの作品はペットボトルにとどまらない。
合力さんの手にかかれば、ペットボトルやストロー、コーヒーの容器、カプセルトイの容器など日常のあらゆる「廃材」が作品の一部になる。一目ではペットボトルで作られているとはわからないほどのクオリティーだ。
合力さんは近所の人や近くのスーパーから廃棄する資材をもらい、作品を制作している。新たな廃材を生み出さない、自然に優しい作品だ。
褒められると湧き上がるアイデア
作品はペットボトル等の廃材で形を作って接着剤で貼りあわせ、色を塗ってニスでコーティング。作品によっては紙粘土も使う。
シンプルな行程だからこそアイデアが物を言う。インスタントコーヒーの容器は貯金箱に姿を変えていた。
ふたの上にキャラクターの顔を作り、後ろにはお金を入れる穴がある。
ふたを開けると貯まったお金を簡単に取り出せるという、アイデア貯金箱だ。
これまで作った作品数は700を優に超えている。アニメのキャラクターやひな人形など季節に合わせた作品、歴史上の人物など題材はバラエティーに富んでいる。
制作に2週間を要した「長崎くんち・コッコデショ」(長崎の秋の大祭「長崎くんち」の出し物)はストローや容器のキャップなど様々な廃材を使っている。人形一体一体に躍動感があり、今にも担ぎ手の掛け声が聞こえてきそうだ。
20本以上のペットボトルを作品に使用した「ゴジラ」は、全長1メートルほどの超大作。胸部は餃子が入っていた容器を使い、足はペットボトルで表現した。廃材だけでここまでゴツゴツした質感が再現できるアイデアは圧巻で、迫力満点の作品だ。
近所の人は「お金も使わず、身近なものでこれだけ作っている物は他にはない。すごい」と感激の様子。合力さんは「褒めてもらえることが嬉しい」と話し、作品意欲がますます湧いてくる。
子供たちの笑顔を見たい
子供たちのことを考えながら作っているときが一番楽しいと話す合力さん。「子供たちに喜んでもらいたい」と近くの小学校に作品を寄贈している。
合力さんがいま手掛けているのは「ペットボトルアート動物園」だ。ゾウ、トラ、ワニ、キリン…。今にも動き出しそうな動物たちの独特な表情に、いつの間にか引き込まれてしまう。
まだまだ動物を増やしてきたいと意気込む合力さん、本物同然の「ペットボトルアート動物園」がオープンする日が楽しみだ。
(テレビ長崎)