連日、本当に暑い日が続いているが、皆さん、夜はよく眠れているだろうか?
夏は、睡眠の質が低下し、睡眠障害にもつながりやすい時期。
「現代の国民病」とも言われる睡眠障害を防ぐには、どうすればいいのだろうか。
■夏は冬より20分も睡眠時間が減少 「暑い夏は、睡眠障害につながるリスクが増加する」

大阪市内にある、疲労と睡眠の問題を専門とするクリニック。
疲れと眠りのクリニック淀屋橋 中富康仁院長:2、3度起きちゃうことがある?
患者(20代):そうですね。常に頭を動かし続けるタイプなので、他の人よりも疲労がたまりやすいのかなって。
疲れと眠りのクリニック淀屋橋 中富康仁院長:睡眠自体は悪化していると思うから、睡眠障害の症状は出ていると思う。
不眠症や、睡眠時の無呼吸は「睡眠障害」と呼ばれ、日本人のおよそ20%は何らかの不眠の症状を抱えているともいわれている。
“現代の国民病”とされる、睡眠障害。
このクリニックにも、多岐にわたる悩みを抱えた患者が訪れるという。
疲れと眠りのクリニック淀屋橋 中富康仁院長:夜遅くまで忙しく働いて、急に寝ようと思っても寝つけないとか、早く起きちゃうとか。新型コロナの後遺症の方も(診察に)来られる。そもそも相談に行っていいのか分からないと思うんですよ。熱とか痛みがあれば病院行こう、おかしいかなと思えるけど、疲れとかもそうですけど、(睡眠は)普段からあるもの。

さらに、この季節ならではの問題も。
夏は、冬と比べて、20分ほど睡眠時間が減少している。
専門家は、暑い夏は、睡眠障害につながるリスクが増加すると指摘する。
広島国際大学健康科学部 田中秀樹教授:(夏は)暗く感じる時間が短くなりますので、その分やはり睡眠時間は、他の季節と比べて短くなる。(睡眠の質が悪いと)健康リスクとしては、高血圧とか身近な病気に発展しがち。

街で話を聞くと、寝苦しい熱帯夜に、皆さん、あの手この手で対策されているようだ。
街の人:きのう、おとといは(エアコン)つけっぱなしです。(Q.エアコンのタイマーが切れたら…?)起きますね。
街の人:枕も冷たい感じの枕カバーにしたり。
街の人:夜中、目が覚めるんですよ。死にかけてますから。すだれは窓に全部かけてます。ホームセンターで買ってきて。

大阪市内の薬局でも、この夏、「睡眠」に関する相談が増えているという。
なの花西日本 藏所志穂さん:1回、負のサイクルに睡眠が入ってしまうと、自分から抜け出すのは難しいので、1つの助けに薬を使って、徐々に薬を減らして自分でコントロールできるように。

そんな中で、こちらの薬局では、睡眠障害への対策として、あるものを導入している。
なの花西日本 藏所志穂さん:これが睡眠の機械になります。シート状の機械になっております。
こちらのマット状の睡眠センサーは、寝る時にマットレスの下に敷くだけで、眠りの質を分析してくれる。

この睡眠センサーのように、ITやAIなどの技術を使い、眠りを分析するサービスは「スリープテック」と呼ばれ、その市場は現在、急成長している。
広島国際大学健康科学部 田中秀樹教授:見える化した情報があった方が、実態を把握しやすくなると思います。潜在的に睡眠に悩みを抱えている方が増えているのも確かでしょうね。
■睡眠プログラムに参加で「テストの点が上がった」 「集中力上がった」と担任

睡眠の見える化とは…?
実際に睡眠センサーを使っているお宅にお邪魔した。
堺市に住む岡綾さんと長男・維吹さん(中学3年生)。
「朝起きられない」など睡眠の悩みがあり、堺市とスリープテックに携わる企業(NTT PARAVITA)が、共同で行う睡眠改善プログラムに参加した。
睡眠改善プログラムに参加 岡綾さん:最近、眠りが悪いなと日々感じていて、体調の変化・不調が、睡眠に直結していれば、調べておきたいなあと思った。

睡眠センサーで図ったデータを見てみると…、
睡眠改善プログラムに参加 岡綾さん:睡眠時間、起きた回数、寝つきの時間とか、中途覚醒も出て…、22分やってますとか…。
中途覚醒とは、眠っている途中で目が覚めてしまう状態のこと。
原因はストレスや生活リズムの変化など多様で、眠りが浅くなり、日中眠くなってしまうなどの影響がある。
岡さんの場合は、平均よりもかなり長い時間、中途覚醒していた。

その原因の1つは、寝る前のある行動にあったようで…。
睡眠改善プログラムに参加 岡綾さん:結構カフェイン系の飲み物が大好きで、一日中、品を変えて色んなものを飲んでたんですけど、コーヒーとか3~5杯ぐらい一日飲んで、紅茶飲んだりで。
岡さんはオンライン面談などを通して、生活習慣や睡眠前の行動などを改善していった。
睡眠改善プログラムに参加 岡綾さん:ノンカフェインを飲んで、カフェインコーヒーは1日1杯ぐらい。前に比べると飲まなくなった。
改善した結果、睡眠スコアが100点に!中途覚醒がかなり少なくなった。
睡眠改善プログラムに参加 岡綾さん:朝も割とスッと起きれたりとか、ちょっとした変化なんですけど、中途覚醒が少し減ったことによって、楽になったところはある。

息子の維吹さんは、寝る前のゲーム時間を音楽でリラックスする時間にかえ、テスト前に睡眠時間を削ることもやめた。
その結果、受験生にとってはうれしい影響が…。
維吹さん:睡眠プログラムやってみて、実際テストの点があがってるんです。(寝るのを)いつもより早くしたらテストの点もあがった。
維吹さんの担任:2年の時から比べてみたら、3年集中力が上がったなって私も思ってて。
維吹さん:データ化とかしてもらって、自分の今の状況っていうのを知れたから、これからも変えていかないといけないのかなと思った。
これからまだまだ続きそうな暑い夏。
自分の眠りの課題をしっかり認識して、対策する必要がありそうだ。
■「質の良い眠りを意識することが重要」 脳と体をリラックスさせる方法3選

暑い夏に快眠を保つための方法をお伝えする。
広島国際大学の田中教授によると、「睡眠には脳と体のリラックス、質の良い眠りを意識することが重要」だという。
脳と体のリラックスさせる具体的な方法というのが、
・38度から40度の、ぬるめのお湯に5~10分程度の入浴がいいそうだ。ちょっとぬるめの方がいいらしく、熱いと交感神経が活発になってしまい、なかなかうまく眠りにつけないという。
・寝ている間にコップ1杯分くらいの汗をかくので、寝る前に同じくらいの量の水を飲んでほしい。
・寝ている間に汗をかくため、布団は吸湿性が良いもので、衣類は通気性の良いものが望ましい。
「スリープテック」など、睡眠への関心が高まっている。
大阪大学大学院 安田洋祐教授:たまたまなんですけど、昨日から枕を変えて、今日はすごい寝覚めが良かったなって。全然テックじゃなくて、たまたま枕を変えだけなんですけど。いろいろなアプリとかサービスもあるみたいなので、使ってみようかなと思いました。ビジネス界で言うと、キーワードは健康経営とかウェルビーイングというのは、盛んに言われるようになってきています。睡眠改善というのは、国際的に見ても日本人の睡眠時間が非常に短いことが知られているので、そこは改善の余地がありますし、改善すると即パフォーマンスの改善につながってくるので、今後ますます注目を集めるのではないかと期待はしてます。

ぐっすり眠れないと、一日前向きになれない時もある。
関西テレビ 神崎博報道デスク:京都大学などの研究で、睡眠時間が短いとか、寝るタイミングが悪かったりするなど、健康的な睡眠ができていない場合、抑うつ状態に陥りやすくなるというデータがあるので、実は健康的な睡眠というのが、精神上の健康にも影響を与えるかもしれないということで、やっぱり健康的に寝られるということは、非常に大切なことだということは分かっています。
ブルーライトも影響するということも言われており、頭と身体をリラックスさせることなどの情報を入手していただき、眠りに入る準備をしっかりしていただきたい。
(関西テレビ「newsランナー」2024年7月9日放送)