山形・最上町の瀬見温泉に、地鶏にこだわったキッチンカーがお目見えした。オープンさせたのは、宮城県からUターンした飲食業経験ゼロの男性。お客さんの「おいしい」という声を力に、温泉街に活気を取り戻すための一歩を踏み出した。
「最上どり」で地域を盛り上げたい
6月29日、キッチンカー「最上亭」をオープンさせた原田邦宏さん。
2023年10月、父親の介護のため古里に戻った時、活気を失った温泉街の現状を目の当たりにした。以前は20軒ほどあった温泉宿が今は5軒しかないという。
この記事の画像(6枚)原田さんは「居酒屋もカラオケもない場所に、食べるところができたら足を向けてくれる人がいるのでは」と考えた。
宮城県で建築・土木資材の卸売業をしていた原田さんに飲食業の経験はなく、ゼロからのスタートだった。
「以前のように人が戻ってくれれば。それしか考えていない」と、原田さんは温泉街への思いを語る。
そして、山形県や宮城県の有名店を食べ歩き、試行錯誤の末に「最上どり」をベースにした一杯にたどり着いた。
最上地域を全面的に盛り上げようとの思いから、キッチンカー「最上亭」では、ラーメン・そば・うどんのすべてに「最上どり」が入っているという。
地元の人やお客さんの声がパワーに
原田さんは現在55歳。新たなチャレンジには勇気が必要だったが、お客さんの反応が気持ちを奮い立たせる。
最上町内や尾花沢市から訪れた人は、「独特の歯ごたえ」「『最上どり』の味が出ている。すごくおいしい。もう一杯頼もうと思う」と笑顔を見せた。
温泉街の住民たちも、原田さんの挑戦を聞いて駆けつけた。
旅館組合の組合長は、「邦宏くん、がんばれな!何かあったら、困ったことがあったら来いな」と背中を押す。
原田さんは、地元の人の“あったかい”声に涙をこらえながら、「そんなに簡単にいくとは思っていない。ただ少しずつ、1人、2人、3人と増えてくれれば良いと思っている」と意気込んだ。
古里への愛着と思いが詰まった瀬見温泉のキッチンカー「最上亭」は、毎週土曜日11時に開店する。
(さくらんぼテレビ)