ウクライナでの戦いで優位に立っているロシアに見えたほころび。入手した映像から解説する。
ロシアの戦略レーダーに“弱点”か
激戦が続くウクライナ。5月10日、東部の国境からロシア軍が侵攻を再開し、各地で攻勢に出ている。一見、ロシア軍に有利に見える戦い。しかし……。
この記事の画像(10枚)SNSで拡散されたのは、穴が空いたヴォロネジDM戦略レーダーの映像。ヴォロネジDM戦略レーダーは、ロシアが誇る探知距離約6000kmのミサイル監視戦略レーダーで、保有する8基以上がさまざまな方向に配備されている。ロシアが攻撃されれば、自らの戦略核ミサイルで反撃するという抑止態勢をとっているが、そのうちインド洋側を見張る2基に穴が空けられたのだ。
これは、戦略レーダーの近くで見つかった残骸から、ウクライナ軍に供与されたAR3ドローンが突っ込んだとも推定されている。ウクライナとしては、アメリカから供与された長距離ミサイルATACMSの発射を戦略レーダーに捕捉されるのを警戒したのではとの報道が出る中、アメリカでは、今回のウクライナによる攻撃は世界の戦略核秩序の不安定化を招くおそれがあるとの懸念が報じられた。
本当にAR3ドローンなら、時速85kmで16時間も飛び続ける性能をいかし、ウクライナから約1500km先の戦略レーダーに突っ込んだことになる。
このドローンは全長1.7m、幅3.5mもの大きさがあり、ロシアの戦略レーダーはこれを感知できず迎撃できなかったということになりかねない。他の方角をにらむ戦略レーダーにも同じ弱点があるなら、ロシアの戦略核システムの抑止態勢が揺らぐことになりかねない。
極超音速巡航ミサイル搭載可能な艦隊をキューバに派遣
こうしたなか、ロシアはウクライナを支援する西側諸国をけん制するためか、核弾頭を搭載できる様々なミサイルを見せつけるかのように、ベラルーシとの共同訓練の映像を公開した。そして、極超音速巡航ミサイルを搭載可能なフリゲートや巡航ミサイル原潜などの艦隊をアメリカ本土の目と鼻の先のキューバのハバナ港に派遣した。
ハバナ港では、ロシアの原潜の横をカナダ海軍の哨戒艦が監視するかのように通る場面も見られ、ウクライナでの戦争は核兵器もちらつかせながら、地球規模でのロシアと西側の揺さぶり合いにまで発展しているようだ。
(「イット!」6月30日放送より)