洗濯機だけでは“汗じみ”は取れない

汗じみや黄ばみで、特に気になるのが襟回りや袖周りだろう。

神崎さんによると、汗じみの原因は「襟回り、袖周り、脇周りは特によく動かして人の肌に触れやすいところ。そこを摩擦によって皮脂やタンパク質などをこすりつけていることになります。それにより“濃い皮脂”がついてしまう」という。

ただ、神崎さんは洗濯機で洗うだけでは汗じみは落ちないと指摘する。

襟周りなどには濃い皮脂がついている(画像はイメージ)
襟周りなどには濃い皮脂がついている(画像はイメージ)

「洗濯機だけでは、汚れが落ちきれず、残ってしまいます。汚れが層になって“ミルフィーユ状”になることで、汗じみや黄ばみとして目に見えてきてしまう。この汚れは雑菌の餌にもなるため、嫌なにおいのもととなる可能性があります」

嫌なにおいの要因ともなるなら、なおさらキレイにしたいところだ。しかし、汗じみが落ちない原因はこれだけではなく、“時短”や“エコ”など昨今の洗濯トレンドも要素の一つだと話す。

「汚れは、時間がたてばたつほど固まって落ちづらくなります。そんな状態でさらに洗濯の時間が短いと、汚れが十分に落ち切らないのです」

すすぎの回数が少ないと汚れが“落ち切らない”(画像はイメージ)
すすぎの回数が少ないと汚れが“落ち切らない”(画像はイメージ)

時間や水がもったいないとして、洗濯の際に「節水モード」「スピードモード」などを選択している人もいるだろう。しかし、すすぎも水の力で汚れを落としているため、回数が少ない「スピードモード」では、汚れが“落ちきれない”ということになってしまうのだ。

これに気をつけつつ、洗濯機に入れる前にひと手間を加えることで、汗じみや黄ばみが落ちてくるという。

前処理で汚れを溶かし出す

「汗じみや黄ばみの落とし方は、メイク落としのイメージです。洗濯機だけでは、皮脂をすべて溶かし出すまでの時間が足りず、さらにたくさんの水で洗うため洗剤の濃度が薄くなってしまい、しっかり落としきれないのです」

汗じみには“前処理”(画像はイメージ)
汗じみには“前処理”(画像はイメージ)

つまり、洗濯機で洗う前の「前処理」で、汚れを先に“溶かし出す”ことが大切になってくる。そこで使うのが、固形の洗濯石けんか洗濯用洗剤、濃縮洗剤、食器用洗剤といった液体洗剤だ。

汚れが目立つ部分に塗り、40度前後のお湯で揺らすようにもみ洗いをすると、皮脂が溶け出しやすくなるという。歯ブラシなどを使ってこすったり、30分程度つけ置きするとなお良いそうだ。

汚れが目立つ部分に「前処理」
汚れが目立つ部分に「前処理」

そしてこのあとに洗濯機に投入する。新品のものでも1回着れば見えなくても汚れているため、神崎さんは「最初からこの『前処理』をすることが大切です」と日々の手入れがキレイを保つことだとアドバイスをくれた。

日々の手入れがキレイを保つ(画像はイメージ)
日々の手入れがキレイを保つ(画像はイメージ)

これらをしても完全に落ちない場合は、最終手段として「酸素系漂白剤」を使ってみてほしい。汗じみや黄ばみがすでに繊維そのものに移っていることもあり、酸素系漂白剤を使ったとしても変わらない可能性もあるが、落とせる場合もあるとのことだ。

衣服についた日焼け止めも注意!

最後に今の時期に欠かせない日焼け止めも気をつけたい。

神崎さんいわく、日焼け止めも油成分で衣服に残りやすいため、同様に前処理をして洗濯することで付着した日焼け止めも落ちやすくなるという。

ただ、酸素系より漂白力が強い塩素系漂白剤をつけてしまうと、日焼け止めクリームの成分と反応してピンク色に変色してしまうこともある。

日焼け止めクリームの成分と反応して変色(提供:神崎健輔さん)
日焼け止めクリームの成分と反応して変色(提供:神崎健輔さん)

そうなってしまったら、食器用洗剤を塗り、もみ洗いすることでもとに戻るそうだ。

部屋干しは「5時間以内に乾かす」ために干し方を工夫し、汗じみや黄ばみは洗濯前のひと手間で衣服の「白さ」を保てる。これを知れば、梅雨時期の悩ましい洗濯の戦いもこの夏で終わるかもしれない。

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神崎健輔さん
神崎健輔さん

神崎健輔
28歳で脱サラ後、現在は実家の老舗クリーニング店「白洋社」部長、IT企業の株式会社「クラスタス」CTO、全国どこからでも受注が可能な宅配ネットクリーニングサービス「Nexcy」を開発しCTOを務める。「クリーニング師」の国家資格を持ち、「洗濯ハカセ」として家庭でもできる洗濯・シミ抜き術を発信する洗濯のプロフェッショナル。All About「洗濯」ガイド

(イラスト:さいとうひさし)

プライムオンライン特集班
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