新潟県小千谷市の温泉施設で2024年1月から温泉がくみ上げられない事態が発生している。能登半島地震の影響と見られるこの異変。新たな源泉を掘るには2億円以上の費用がかかるということで、地元では住民を巻き込む議論となっている。
温泉が出ない…施設がピンチ
源泉から温泉がくみ上げられなくなっているのは、小千谷市にある温泉施設・道の駅ちぢみの里だ。福原栄子女将は「まさか全く出ないというのは考えていなかった」と話す。
この記事の画像(9枚)異変が起きたのは2024年1月、温泉に黒い泥などが混じり出したという。
そして1月25日、「温泉が上がってこない、水道水での対応ということで営業していた」と、沸かし湯で営業を続ける事態に陥ったという。
源泉を見に行くと、温泉をくみ上げるポンプに泥が入り込み、業者からも「泥を取り除く装置も中には入り込めず、くみ上げられない」と説明を受けたという。
老朽化した設備に能登半島地震のダメージが加わったことが原因と見られている。
2023年4月に指定管理者となった関越サービスが施設の改修など設備投資をしたばかりだった。
こうした現状に来館者数にも影響が出ている。「最初は『温泉が出ない』と帰られたお客様も1日5~6人いた」
来館者は1月以降、減少傾向にあり、5月は昨年の71%ほどにとどまっているという。
新たな源泉掘削に2億円…市民から賛否の声
新たな源泉を掘るには2億円ほどかかるとみられていて、市は掘削すべきか住民アンケートを実施。
6月25日にその結果が発表され、7割弱が今後も温泉施設として利用したいと回答したという。ただ、お金をかけて新たに掘削するかどうか、その判断は真っ二つに分かれている。
市民からは「難しい。お金は市民の税金」「小千谷市で唯一の温泉なので残念」などの声が聞かれた。
温泉は楽しみたいが、費用負担は避けたい…住民の思いは複雑なようだ。
小千谷市はアンケート結果を踏まえ、掘削の是非や施設の在り方を議論していく方針だ。
(NST新潟総合テレビ)