「田植えができない…」新潟県十日町市のコメ農家が肩を落としてこう話した。2023年は猛暑で苦しめられた新潟県内のコメ農家。2024年は冬の少雪による“水不足”が深刻な影響を与えている。梅雨入りも遅れる中、2024年の作付けを一部断念したコメ農家を取材した。
水のない田んぼ「今までにない…」
星峠の棚田など美しい景色でも有名な新潟県十日町市松代。
この記事の画像(8枚)松代にある蒲生の棚田もその美しい景色で人気だが、20枚ほどある水田の中には水の張られていない田んぼも見られた。
田んぼを管理しているコメ農家の柳芳健さんは「田植えをしてから日照りが続いて水がなくなることは今までも結構あったが、そもそも田植えができないというのは今までにない」と初めての経験に頭を悩ませていた。
少雪による水不足…頭を抱えるコメ農家
柳さんをはじめ、山間地でコメを作る農家に深刻な影響を与えている水不足。
「これは横井戸になっていて、本来は横井戸から水が湧いて出るはずだが、いくらも出ていない。春先は雪どけ水が頼りなのに」
棚田の脇に設置されていた横井戸からは本来、水が流れ出る音が聞こえているというが、取材時には音は全く聞こえない状態となっていた。
2024年2月に行われた十日町雪まつりでは、毎年恒例となっていた市民が作る雪の芸術作品の審査会が少雪の影響で中止になったほか、春先以降も雨の日が少なかった十日町市。
雨水や雪どけ水が主な水源となる松代地区や松之山地区ではこの水不足で田植え前の田んぼの整備に必要な“代かき”ができず、合わせて約24ヘクタールの田んぼで作付けができない事態に陥っていた。
柳さんも「とにかくコメは水が一番大事だから。その水がたまらないことにはコメ作りは無理」と頭を抱える。
十日町市は渇水対策を支援
こうした農家からの声を受け、十日町市では渇水被害対策として水路の掘削費用やポンプやホースの設置にかかる費用、電線の架設費、ポンプなどのリース料・購入費、ポンプの運転にかかる燃料費及び電気料、ミキサー車等で水を運搬した経費について最大50%を補助する応急対策事業の実施を決めた。
十日町市産業観光部農林課の鈴木規宰課長は「農家さんが望んでいる支援を考えながら迅速に対策を打っていきたい。ぜひ農家さんも2年続きで大変な状況も予測されるが、共に頑張っていただきたい」とバックアップ体制を整えていく考えだ。
天候に翻弄され続けている新潟のコメ農家。
柳さんは2024年作付けできなかった棚田については、梅雨の時期のまとまった雨を利用して代かきを行い、2025年のコメ作りに備えるとしている。
(NST新潟総合テレビ)