「ハット違い」で断念…コラボ企画が再始動
皆さんはカー用品等の販売をしている「イエローハット」とピザチェーンの「ピザハット」が2019年にtwitterで繰り広げたやりとりを覚えているだろうか。
2019年8月5日、イエローハットの公式twitterアカウントからピザハットに向けて「ピザハットさん、突然すみません。社名の“ハット”つながりで8月10日の“ハットの日”なにかやりませんか?」との投稿があり、わずか5分後にはピザハットから「いいですね!!ぜひぜひ、やりましょう~♪」との返答が。
これをきっかけに立ち上がった「ハットの日」のコラボ企画、お互いのロゴマークを頭にかぶり、笑顔で握手をしているコラボマークがその日のうちに完成したが…実はピザハットの「ハット」は「小屋」を意味する「hut」であり、「帽子」の「hat」のイエローハットとは違うことが判明。
イエローハット側から「社内協議の結果ハット(帽子)とハット(小屋)で一緒にできるハットが見つからず今年は弊ハット1社でやることにしました」と企画の断念が伝えられると、ピザハット側からは「小屋も、帽子も、ハット同士。来年こそはハットつながりで何かやりたいですね! 」と前向きな返答があり、この企画は幕を閉じた。
ここまでは編集部でも去年お伝えした。
(参考記事:まさかの“ハット”違い…イエローハットとピザハットの「ハットの日」コラボの行く末を聞いてみた)
そして2020年、約1年の沈黙を破り再び「ハットの日」コラボが立ち上がったのだ。

2020年6月にイエローハットから「今年こそは何かやりたいです」とのメッセージが入ると、ピザハットも即座に「何やりましょうか」と返信。
「タイヤとピザの共通点探しましょう!」というイエローハット側の呼びかけに乗って、正式にコラボグッズの制作が決まったのだ。
ちなみに、イエローハット側が挙げた共通点は「丸い!」のみで、ピザハット側が「丸い(笑)」「丸いですね」「丸いですね!」と律儀に返答しているのも面白い。
そして出来上がったのがこちら、タイヤとピザを模したリバーシブル型の「ハット」!

その名も「イエローピザハット」という、タイヤとピザを取り入れたデザインの「ハット」で、2社の公式twitterアカウントを通じて14日までに応募すると合計8名に抽選で当たるという企画。
このコラボにSNSは「爆笑させてもらった事件から1年…」「昨年のリベンジを果たしたのですね!」と沸き立ち、2社の公式アカウントへは「応募しました!」とのコメントが続々寄せられている。

しかし、ぬいぐるみがこの「イエローピザハット」の下に潜り込んで「小屋にもなる」と主張している画像も小さく添えられているが、これはどう見ても「帽子」に寄っている気がする。
2019年に“コラボ未遂”で終わってしまったきっかけの「帽子と小屋」問題に立ち返ってしまったような気もしてくるが…
このインパクト大のグッズが生まれるまでにはどんな紆余曲折があったのだろうか。コラボ成立までのお話を両社に聞いた。
“ボツ案”続出のコラボ一部始終
――今回のコラボ企画、1年の間にどんなやりとりがあった?
イエローハット:
昨年の8月10日のセール終了後に「来年こそは実現させたいですね。」と、勘違いのお詫びを兼ねて、来年の決意をピザハット担当者さんにメールいたしました。今年に入ってから、担当者間で計画を進めたという形になります。
2019年の“コラボ未遂”の後、「LINEを交換するほどの仲になった」という2社。
しかし企画自体は2020年に入るまで動いていなかったとのことで、6月になって初めてコラボの合意がなされたとのこと。
そこから始まったのが、企画の打ち合わせとアイデア出し。
実は「イエローピザハット」がすんなりと生まれたわけではなく、いくつかの“ボツ案”を作りだした攻防があったというのだ。

まずは「タイヤピザ」。
タイヤにピザが載っているのか、それとも詰まっているのか…イエローハット側は「分かりやすくて良いですよね!」と乗り気だが、ピザハットからは「弊社サイドの負担が大きすぎます…」と却下に。
続いては、「タイヤ・ホイールキャップ」。
こちらはおそらくフェイクのピザがついたデザインのホイールのアイデア。
ピザハットは「面白い!」と言ったものの、イエローハットは「製造どうしよう…」と頭を抱えたこのアイテムは、結局「こんなホイールをつけた車が隣を走っていたら気になってしまい、危険」という理由で却下に。

続いてボツ案は「タイヤピザDJマット」。
ターンテーブルに敷くマットがタイヤとピザ柄になっている、一見かわいいアイテムだが…最終的に「誰も欲しくない」という身も蓋もない理由で却下されてしまった。
同じく、円卓のふちのデザインがタイヤ、中央にピザをデザインした「タイヤピザ円卓」も「誰も欲しくない」とボツに。
「丸い」という共通点を頼りに突っ走ったようだが、結局、原点に立ち返り、「帽子とも小屋ともとれる“ハット”を作りましょう」ということで合意したのだ。
やはりモメた「ハット」問題の行方は…
こうして生まれた「イエローピザハット」だが、ここでも新たな攻防が。

サンプル品を受け取ったイエローハットが「今年は2社がコラボした『コラボ帽子』を作りました!」とツイートすると、ピザハットはすかさず「帽子?コラボ品は帽子であり、小屋でもありますよ!(うち小屋なので)」とピシャリ。
その後も「結構帽子ですね」「帽子に寄せすぎた気もしてきました、ごめんなさい」「小屋の主張、頑張ります!」ともめつつも、なんとか無事コラボ企画が成立したのだ。
一瞬不安に感じた「帽子と小屋」問題だったが、やはり数々の攻防があったようで、そのユニークなやりとりに思わず笑ってしまう。

――そんな努力の末に生まれた「ハット」はどう使ってほしい?
イエローハット:
いつでも気軽にかぶっていただければと思っております。小屋の機能もありますが、雨には弱いですので、日除け程度にお考えください。
――今後もコラボ企画は続けてく予定?
ピザハット:
来年のことは今は考えてはいませんが、お客様のご要望があれば検討していきたいと考えています。

他にも、イエローハットは8月10日まで「ハットの日感謝セール」としてオリジナルグッズのプレゼントや対象商品の購入でキャッシュバック2倍などのキャンペーンを実施。
ピザハットは8月10日に対象商品の「お持ち帰り55%OFFキャンペーン」を実施している。
多くの人が注目した、1年越しの期待のコラボ。
今後もネットを賑わすユニークな企画が続いていくことを期待したい。
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