犬や猫などの健康面などを考えて、自分のペットにあげる食べ物にこだわりを持つ人たちが増えている。

そんな中、岐阜と愛知に店舗を構えるうなぎ料理専門店「うなぎ屋たむろ」が、愛犬専用のおやつを開発した。

愛犬専用のおやつ「うなぎサクサクくん」
愛犬専用のおやつ「うなぎサクサクくん」
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その名も「うなぎサクサク」。

「サクサクくん」と「サクサクちゃん」の2種類を展開。4月から「うなぎ屋たむろ」のネット通販(2024年7月時点)で販売されている。

こだわりが詰まった新感覚のおやつは、どんな犬も喜んで食べてくれるのだという。

なぜ、うなぎ料理専門店がペットのおやつを生み出したのか。そこにはうなぎを扱うお店ならではの悩みと、それを解決した従業員からのヒントがあった。

こだわりの素材がそのまま!

岐阜県にある、うなぎ屋たむろグリュー各務原店。

うなぎ屋たむろグリュー各務原店
うなぎ屋たむろグリュー各務原店

ここでは店の近くにうなぎの養殖施設を構え、自社でうなぎの養殖研究も行なっている。

「うなぎ屋たむろ」は、その確かな味を求めて連日賑わう人気のうなぎ店だ。

この“うなぎ店”が新商品として売り出しているのが、ペット用ドライフード「うなぎサクサク」だ。

うなぎの頭をまるごと使った「うなぎサクサクくん」
うなぎの頭をまるごと使った「うなぎサクサクくん」

実際に見せてもらうと、うなぎの頭のみがそのまま入っていて、なかなかのインパクトがある。

「うなぎ屋たむろ」マネージャー・木戸口勝一さんは、うなぎ職人でもあり、この「うなぎサクサク」を生み出した人物の一人だ。

「うなぎ屋たむろ」マネージャー・木戸口勝一さん
「うなぎ屋たむろ」マネージャー・木戸口勝一さん

「『うなぎサクサク』は、お店でひつまぶしやうな重などに提供しているうなぎの頭の部分です。味付けは一切していません。下処理もきちんと行なっているので、人が食べても大丈夫なほど。食べてみてもらってもいいですよ」

ということで、取材スタッフも試食してみると、風味は煮干しに近く、味付けはしていないと言っていたが、おいしい。

一番印象的だったのが、サクサクッとする軽い噛み応えだ。

木戸口さんは「実はそこがポイントで、食感と音にこだわって作りました」と話す。

従業員からのヒントに「なるほど」

2002年に愛知県春日井市に1号店をオープンした「うなぎ屋たむろ」。

うなぎ屋たむろ本丸春日井店
うなぎ屋たむろ本丸春日井店

食材にこだわり、最高級備長炭で仕上げるうなぎが心地良い空間で味わえるとあって人気になり、今では愛知県と岐阜県に3店舗を展開。

さらに自宅贈答用など、加工品の通販事業まで拡大し、成長を続けてきた。

悩みの種だったうなぎの頭の活用
悩みの種だったうなぎの頭の活用

店が繁盛するうれしさとともに課題となったのが、増え続ける大量のうなぎの頭の廃棄だ。

活用法はなかなか見つからず、長年悩みの種であったが、そこにはうなぎ特有の事情があった。

うなぎをさばく木戸口さん
うなぎをさばく木戸口さん

「うなぎの頭の骨は、ものすごく硬い。煮る・焼く・干す、圧力鍋を使う、味付けしてみる、あらゆることを試しました。

自分たちの手で自信をもって管理しているうなぎなので、間違いなく栄養はあるだろうと思っていました。何とかして頭も提供したいと思っていても、どうしてもゴワゴワする食感が残ってしまっていました」(木戸口さん)

さまざまな方法で商品開発を試みるも、生臭さが残ってしまったり、おいしくできても噛み切れず、納得のいく商品はできなかった。

そんなとき、ある従業員の声がヒントになったと木戸口さんは言う。

「『飼っている犬にいろいろなごはんやおやつを与えているけど、おいしそうな音を立てて食べているときはこっちまでうれしくなる。そういう商品がお店にあったらいいんじゃない?』と言われて、なるほど!と思いました」

製造工程は企業秘密

それから木戸口さんはペット用商品に絞り、食感にこだわって商品化を考えたところ、比較的早く答えが見つかったそうだ。

「お店で提供するものや通販などの加工品も、新鮮なものを提供することをコンセプトにしています。そのためにこれまで多くを費やしてきました。

その製法や工程から、独自のドライ製法を使った加工を行うことで、サクサクとした軽く食べやすい食感を実現できるようになりました」

うなぎの頭を独自のドライ製法にすることで生まれた「うなぎサクサク」
うなぎの頭を独自のドライ製法にすることで生まれた「うなぎサクサク」

その処理工程は複雑で、ある製造技術によって香りや食感に変化を生んでいるが、その工程の詳細は企業秘密だ。

独自のドライ製法で「うなぎサクサク」の特別な食感と風味が生まれているという。

日本最大級のペットイベントでも好評だった
日本最大級のペットイベントでも好評だった

4月には、東京ビッグサイトで開催された日本最大級のペットイベント「インターペット」で披露。

小型犬から大型犬まで、どの犬種にも好評だったそうだ。

わんちゃんと飼い主を考えたらたどりついた

「うなぎサクサク」は、中身は同じもので、袋とボトルの2タイプがある。

より素材にこだわりたい人は、愛知県の三河一色産のうなぎから作られた“極(きわみ)”がオススメだという。

「うなぎサクサク」
「うなぎサクサク」

「うなぎサクサクくん」は大型犬用だが、ふりかけにした小型犬用の「うなぎサクサクちゃん」も商品化した。

小型犬の場合はふりかけにした「うなぎサクサクちゃん」で
小型犬の場合はふりかけにした「うなぎサクサクちゃん」で

「今は小型犬を飼っているご家庭が多い。『最初から砕いたものが欲しい』という声もあり、ふりかけタイプも販売開始しました」と木戸口さん。

なかには愛犬のことを一番理解している飼い主が、うなぎサクサクくんを愛犬の好みの大きさに砕いて与えている家庭もあるようだ。

「うなぎサクサクくん」は大型犬用
「うなぎサクサクくん」は大型犬用

木戸口さんは、「人がうなぎを食べて夏バテ防止をするように、わんちゃんにも元気になってほしい。ただし食べ過ぎは、栄養の摂り過ぎになってしまうので注意が必要です」と語る。

普段の食事にプラスして使ってほしい「うなぎサクサク」
普段の食事にプラスして使ってほしい「うなぎサクサク」

「うなぎサクサクくん」「うなぎサクサクちゃん」は、あくまでペットフードに混ぜたり、加えたりして、おやつで与える栄養補助食品。

普段の食事にプラスして使ってほしいという。

今年の夏の土用の丑(うし)の日は7月24日と8月5日にある。

これからは、「愛犬も一緒にうなぎを」が定番になるかもしれない。

うなぎサクサク