お米の主要産地である新潟県が昨年の猛暑の影響で品質の低下や不作に見舞われたことで、今、お米の値段が高騰している。“コメ不足”はいつまで続くのか、東京・墨田区の精米店、亀太商店の市野澤利明代表に聞いた。
異常気象と消費アップで値段高騰
ーーお米の流通状況は?
お米は1俵60キロで金額が提示されますが、年が明けてから毎月約1000円ずつ値段が上がっています。前年秋の収穫時の頃の金額に比べると、4000~5000円高くなっていて、1キロあたり約80円アップの計算になります。
値上がりの理由の1つは昨年の猛暑です。過酷な天候で品質が落ち、例年に比べて小粒な出来となりました。精米するとお米が欠けたり、お米のお腹と背中の部分に白い線が入ったりします。これを「背白粒」「腹白粒」といいます。さらにお米がくすんでいる「乳白粒」もあります。
お客様にはお米を炊く時、あまり研がないように案内したり、お水に浸ける時間を短めにするよう伝えています。
ーー品薄になる理由は?
お米が小粒だと、これまで110キロほどの玄米を精米すれば100キロほどの白米になりましたが、それが115~120キロほど必要になります。原料が増える分、お米の消費は早くなります。
また、コロナ禍が明け、飲食店や観光業が活況を呈してインバウンドも増えたことで、お米の消費量が多くなっています。こうしたことから、お米の需要と供給のバランスが崩れて価格が上がってきたという状況です。
猛暑に負けない品種を開発
コメ不足はいつ頃解消されるのか。市野澤代表は、「早いところでは7月下旬~8月に令和6年産の新米が登場してくる」と語る一方で、猛暑に強い品種の開発も進んでいるという。
ーー令和6年産の新米はいつ頃発売される?
お米は一年草なので、秋に収穫して翌年の秋まで食べ続けます。そうなると、早いところでは今年の7月下旬~8月にはお米が出てきますが、それまでの期間がタイトな供給量になります。もう少し辛抱すれば2024年(令和6年)産の新米が登場してくるので、今はそれを待ち望んでいるところです。
ーー今年の生産状況は順調?
2023年は猛暑で、雨も台風も少なく水不足に悩む産地がありましたが、2024年は今のところ順調に推移しています。また、こうした状況なので県も農協もいくらか作付けを増やしているし、最近は猛暑に強い品種が次々と開発されています。
お米には1等、2等、3等などと等級がありますが、2023年の新潟県魚沼地区は水不足などの影響で、収穫されたお米の7~8割が3等米でした。しかし「新之助」という品種は、暑さに持ちこたえて出来上がった良いお米で、約9割が1等米です。そうしたお米の作付けが今後増えてくるのではないかと思っています。
1993年(平成5年)も記録的な冷夏で米騒動がありましたが、翌年には大豊作になりました。私の経験では2年続いてコメ不足が起きたという記憶はないので、2024年は順調な生産を期待しています。