今年の受験は、大波乱だと感じます。

新型コロナウイルスで学校が一斉休校になり、現在でも多くの学校が分散登校を行っています。その中で夏休みが減り、塾の夏季講習も短縮され、十分な学習時間をなかなか確保できていないことが多いです。

さらに、模試の回数すら少なくなってしまっています。勉強を教えてもらう環境も、勉強の成果を測る場も十分に持てていない受験生が多いです。

もともと2020年度は入試改革の最初の年ということで、「今年はどうなるんだろう」と不安に思っている学生が多い中で、こんなことになってしまい、学生に話を聞くとみんな「不安だ」「どう勉強していいか分からない」と口々に語ります。

やるべきことを書き出そう!

この記事の画像(6枚)

そんな時に僕が話すのが、「自分がやるべきことを書き出す勉強法」です。

人間は、「見えないこと」が不安になる生き物です。「このまま勉強していても受験に間に合うのかな?」という受験までの自分の勉強の進捗度合いがわかっていない状態で勉強するのは、辛いです。

受験の見通しが立っていなくて、「何をすればいいのかわからないけれど、とりあえず今日は数学の勉強をしようかな…」なんて、ふわっと勉強しているから、不安になって勉強が捗らないのです。

そうならないためにやるべきことはたった一つ。「受験当日までにやるべきことリスト」を作るのです。

「受験のToDoリスト作り」とは?

数学はどの問題集をどれくらい終わらせればいいのか?英語はどの単語帳をどれくらいやるのか?過去問は何年分解きたいのか?

そういう、試験本番の日までに「この勉強を終わらせておきたい」という内容をすべて書き出すのです。

さらにそこに、受験の手続きや試験要項のチェック、オープンキャンパスへの参加など、そういう『勉強に関係ないけど必要なこと』も書き出します。そうすると、「受験までに自分は、これをやればいいリスト」というものが出来上がります。

それをもとに1ヵ月ごとにどんな勉強を終わらせるのかという受験までの1ヵ月毎の“勉強ToDoリスト”を作るのです。受験までにやりたい勉強を書いて、8月に終わらせるもの、9月に終わらせたいもの、10月にやらなきゃならないもの、という風に勉強計画を立てていくのです。

もちろん普段の生活の中で「これをやらなきゃ」というものが出てきたらToDoリストに追記していきます。とにかく、『自分がやらなきゃならないこと』を明確にするのです。そうすれば、迷いや不安がある程度抑えられます。

何か不安なニュースがあっても、大丈夫かなと思い悩んでも、やることリストに書いてあることを粛々と進めればいい、と考えることで安心感が生まれ、勉強が捗るのです。

数字で目標を設定しよう!

ここで大切なのは2つ。1つは数字で目標設定をすること。もう1つはその数字の目標を2つ用意することです。

例えば「数学の問題集を完璧にする!」とリストに書いたとしても、どれくらいで完璧になるか分かりませんから、時間を取られたり「完璧かな?」と不安になったりして足踏みしてしまいます。

「こうなれば終わり」という明確な基準がないから、無駄な時間を過ごしてしまうことになるかもしれないのです。そこで、「この問題集を3周する」とか「30ページ分終わらせる」とか、そういう風に目標設定に数字を入れるようにしましょう。

数字は、物事を具体的にします。目標設定に数字が入っていないと、なんとなく、ぼんやりと勉強してしまいがちになってしまいますが、数字があれば、「3回やったからOK」「20ページできたからクリア」と勉強が具体的になっていきます。そして、具体的になれば、必ず行動に移せます。これで勉強が効率化していくのです。

目標は2つ立てよう!

そして、この数字の目標を2つ作るようにしましょう。

「最低限ここまではクリアしたい目標」と「最高だとここまでできれば嬉しい目標」の2つを作るのです。「1周は最低でもやろう!」「3周できたら最高だな!」という風に、数字の目標に幅を持たせるのです。

ToDoリストは、やることが明確になる分、達成できない時に不安になってしまいます。そしてはじめにToDoリストを作るときは理想を詰め込んでしまうので、無理なToDoリストになってしまうことも少なくありません。

そういう時のために、「最低限はここまで」「最高でもここくらいまで」という2つを用意しておくことで、理想だけを追うことにならず、勉強が捗るのです。

結局受験はやるべきことをしっかりやった人が勝ち、やるべきことが出来なかった人が負けます。僕は偏差値35の時に「とりあえずこの勉強から手をつけようかな」を繰り返していたので、当たり前のように成績が全然上がりませんでした。そうではなくて、やるべきことをしっかり見極めて、粛々と実行していくこと。それだけが重要です。みなさん頑張りましょう!

『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』(東洋経済新報社)

西岡壱誠
歴代東大合格者ゼロの無名校のビリだったが、ひょんなことから「偏差値35からの東大受験」を決意。しかし勉強へのモチベーションが続かず、二浪が決まり危機的状況に陥る。自己認識をあらため、どのようにすれば勉強に没頭できるか試行錯誤した結果、集中力を圧倒的に高めることに成功し、あらゆる科目の成績が飛躍的に向上。東大模試全国4位を獲得し、逆転合格を果たす。現在は、人気マンガ「ドラゴン桜2」(講談社)編集プロデューサー兼東大生チーム「東龍門」リーダーを務める他、コロナウイルスの間に現役東大生が生配信で授業を行うYouTubeチャンネル「スマホ学園」の運営も行うなど、多方面で活躍している。著書に19万部突破の『東大読書』や7万部突破の『東大作文』(ともに東洋経済新報社)など多数。近著は『東大式スマホ勉強術 いつでもどこでも効率的に学習する新時代の独学法』(文藝春秋)、『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』(東洋経済新報社)。  

西岡壱誠
西岡壱誠

株式会社カルぺ・ディエム代表。
偏差値35から東大を目指すも、2浪する。3年目から勉強法を見直し、偏差値70、東大模試で全国4位となり、東大合格を果たす。東大入学後、人気漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集を行うほか、TBSドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」の脚本監修を担当。『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)など著書多数