11日、都内で開催されている特別展「夢みる光源氏―公文書館で平安文学ナナメ読み!―」を鑑賞された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま。高校時代には枕草子に関するレポートを執筆し、大学で古典文学を研究された愛子さまならではの専門的なやりとりは、解説役の国立公文書館の調査員も感銘を受けるほどのものだった。
江戸時代の『源氏物語』注釈書に言及
愛子さまは2024年に卒業した学習院大学で日本文学を専攻するなど、以前から古典文学に関心を寄せられている。

特別展では、平安文学における「夢」をテーマに、『源氏物語』や『伊勢物語』などの資料が展示されていて、愛子さまは、江戸時代に書かれた、『源氏物語』の注釈書『窺原抄(きげんしょう)』について説明を受けられた。

その際に説明者が「今回は『桐壺の巻』を紹介しています」と解説すると、愛子さまは、「江戸時代には源氏の写本が充実していて」「江戸時代は・・・『湖月抄(こげつしょう)』でしたっけ?『源氏物語』の写本ですと有名なものもありますけれども、それとの関係性というのは?」と質問される場面があった。

解説を担当した国立公文書館の調査員の星瑞穂さんによると、江戸時代に広く流布していた注釈書は『湖月抄』であり、愛子さまはそのことをご存じの上で、今回展示されている『窺原抄』と『湖月抄』の関係などについて専門的な質問を重ねられていたという。星さんは「大変古典文学に造詣が深く、感銘をうけた」と話していた。
『枕草子』が卒業レポートのテーマの1つに
また、愛子さまは高校3年生の時には、『源氏物語』や『枕草子』、『更級日記』などの「平安文学における猫や犬と人との関わりについて」をテーマに、卒業レポートをまとめられた。学校の基準の倍近い分量を執筆されている。

特別展では、その『枕草子』の『夢』にまつわるシーンも紹介されていた。夢の意味を思案して恐ろしく感じた時に、他人に「なんでもない」夢だと分析をしてもらうと安心する、という一節について説明を受けると、愛子さまは「現代でも夢占いはありますよね」と話された。

星さんによると、このとき、愛子さまが高校時代のレポートで『枕草子』に登場する犬「翁丸」をテーマに取り上げたことを明かされる場面もあったという。
この「翁丸」の一節が、西暦995年に藤原隆家が花山法皇を襲撃した「長徳の変」が背景になっているのではないか、ということについてレポートで論じたという愛子さま。
「長徳の変」の場面を展示していた『栄花物語』の前では、「大変思い入れがある場面です」と話されたそうだ。

時折笑い声が聞こえてくるなど、和やかに約1時間にわたって展示を見て回られた。大学時代、様々な和歌の先行研究に目を通し、平安文学について深く学んだ経験をもとに、より専門的な観点で質問を重ね、さらに学びを深められる機会となった。
愛子さまは、「夢を通して平安貴族の心のあり方にふれることが出来ました」と感想を述べて会場を後にされた。