秋篠宮妃紀子さまは、4月6日、東京・渋谷区の明治神宮会館で明治天皇の皇后・昭憲皇太后が着用したドレス「大礼服」に関する国際シンポジウム「受け継がれし明治のドレス」を聴講されました。

国際シンポジウム「受け継がれし明治のドレス」(東京・渋谷区)
国際シンポジウム「受け継がれし明治のドレス」(東京・渋谷区)
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昭憲皇太后は、日本赤十字社の設立や女子教育の振興に尽力したほか、女性皇族として初めて洋装を取り入れたことでも知られます。女性の洋装を勧め、また洋服の仕立てには国産品を使うことを奨励しました。

昭憲皇太后
昭憲皇太后

「大礼服」は、宮中で着用された最も格式の高いドレス。現存する最古のものは、明治22(1889)年ごろ製作されたとみられ、明治42(1909)年に京都・大聖寺に下賜され保管されてきました。

明治神宮ミュージアムで展示された昭憲皇太后の「大礼服」
明治神宮ミュージアムで展示された昭憲皇太后の「大礼服」

しかし、劣化が激しく、世界中の研究者などによって平成30(2018)年から5年かけて修復が行われました。

2023年2月に修復が完成した大礼服は、2024年4月から5月にかけて明治神宮ミュージアムで展示されました。

修復前の「大礼服」(提供:中世日本研究所)
修復前の「大礼服」(提供:中世日本研究所)

「大礼服」は、胴体部分と長さ3.4mある引き裾「トレーン」で構成されていて、金属製の糸で、バラの花や葉の立体的な刺しゅうが施されています。

引き裾・トレーンに刺しゅうされたバラの文様
引き裾・トレーンに刺しゅうされたバラの文様

シンポジウムでは、修復に関わった中世日本研究所のモニカ・ベーテ所長らが、その成果を発表。修復の過程で、使われている糸や生地、刺しゅうなど全て日本国内で製作された可能性が高いことが判明したといいます。

中世日本研究所 モニカ・ベーテ所長
中世日本研究所 モニカ・ベーテ所長

大礼服を所蔵する大聖寺の「文化・護友会」の名誉総裁を務める紀子さまは、熱心に耳を傾けられました。

4月25日、上皇后・美智子さまが明治神宮を訪れ、展示をご覧になりました。修復を支援してきた上皇后さまは、2023年5月、修復を終えたドレスを見るため京都・大聖寺にも足を運び、モニカ・ベーテさんら関係者から修復の経緯について説明を受け「大変なお仕事をなさいましたね」とねぎらわれています。

翌26日には、両陛下と長女の愛子さまも足を運び、明治の近代化に尽くした昭憲皇太后ゆかりの品々をご覧になりました。
(「皇室ご一家」5月12日放送)