栃木・那須町の山林で16日、焼けた遺体が見つかった事件。警察は出頭してきた20代の男から任意で事情を聞いているが、容疑者逮捕には至っていない。ただ、徐々に明らかになってきた現場の状況から、容疑者の姿がおぼろげながら見えてきた。
遺体の顔に袋と粘着テープが
遺体が見つかった場所は栃木県那須町伊王野の山林だ。近くに川が流れていて、遺体があったのは林道から見える距離にある河川敷。第一発見者によると、2人の遺体はXの字のように重なって倒れていて、「マネキンのようなものが燃えている」と思ったそうだ。遺体の顔には黄色の袋がかぶせられていたうえ、茶色の粘着テープが巻かれ、手は縛られた状態だったという。

遺体は焼かれてはいたものの、指紋などは残されていて、2人の遺体のうち1人は東京・台東区で複数の飲食店を経営する実業家の、宝島龍太郎さん55歳と確認された。
目撃者によると、もう1人は、くるぶしが隠れるくらいのブーツをはいていたので、一見して女性だと思ったということだ。
また遺体があった場所は、遺体を中心に半径2メートルくらいの円を描くように燃えていて、現場周辺には何かを引きずった後も残されていた。
こうしたことから、2人は生きているうちに火をつけられたのではなく、亡くなってから火をつけられ焼かれた可能性が高いとみられている。。
顔見知りの犯行か
遺体の顔に袋がかぶされて隠されていたことから、一般的に、犯人は被害者の知人の可能性が高いといえる。被害者に自分の顔を見られたくない、あるいは被害者の遺体の顔を見たくないという犯人の心理を表わしているからと言われている。

こうした情報を踏まえた上で、この事件が不可解なのは「遺体が山の中とはいえ、林道から近く人目につきやすい場所で焼かれていた」という点だ。
また、遺体を焼いているが、指紋が残されていたという情報があるので、遺体を完全に焼いて証拠隠滅をはかることができなかったと言える。これらの点から、非常に場当たり的でずさんな犯行に見えてくる。

被害者については、東京・上野で複数の飲食店を経営しており、近隣とのトラブルがあったという一部情報も入ってきている。そうしたトラブルが今回の事件の背景にあったのか、解明が待たれる。
【執筆:フジテレビ解説委員 上法玄】