「子ども・子育て支援金」。少子化対策に迫られている政府は関連予算を10兆円まで増やそうとしている。児童手当の拡充や10万円の出産応援金などに充てるのが狙いだ。その財源を確保しようと2026年から公的医療保険料に「支援金」を上乗せして徴収しようとしている。

子育て支援金の使い道
子育て支援金の使い道
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月1000円超の負担も

気になるのは、その額。総額が1兆円となる2028年度の試算では、年収に応じて異なり、例えば、年収600万円の場合、自営業者など国民健康保険の加入者は月800円、会社員や公務員など被用者保険の加入者は月1000円。当初、岸田首相は「月500円弱」としていたが、これは国民一人当たりの平均額。試算では年収400万円以上で500円を超える。一方、年収が2000万円、3000万円と増えても徴収額は変わらない。

今回の試算や制度の中身を県民はどう見ているのか?長野市で聞いた。

年収別の徴収額(2028年度 月額)こども家庭庁による ※試算
年収別の徴収額(2028年度 月額)こども家庭庁による ※試算

異論「子育て中でも負担するの」

「子ども・子育て支援金」徴収額に県民はー。

60代の自営業の女性は 「(負担する額は?)この辺(年収1000万円)。しょうがないかなとは思うけど、あんまり高くないほうがいい」と一定の理解を示しつつも、負担は少ない方がいいと話す。

また、 50代の会社員の男性は 「この辺(月1000円~1350円)。いいんじゃないですか、目的がちゃんとしているのであれば。私、子どもいないですけど、社会的に支えられればいいと思う」と前向きに捉えている。

「子ども・子育て支援金」徴収額に県民は?
「子ども・子育て支援金」徴収額に県民は?

一方、子育て中の人からはー。 

30代の女性(夫の徴収額は月1000円~1350円)は 「1000円、高いんじゃないかな。食費も上がってるし、赤ちゃん用品も高いので、1000円はばかにならない金額。支援してくれると言いつつ、負担があるというのはどうなんだろう。支援と言えるのかなというのが本音」と異論を唱える。

また、40代の女性(夫の徴収額は月1650円)は「子どものために国が使うという意味では理解しているが、子育てしている家計から出費するというのは、理解に苦しむところがある」 と毎月の出費が大きな負担となると懸念している。

「子ども・子育て支援金」徴収額に県民は?
「子ども・子育て支援金」徴収額に県民は?

不公平「年収1000万円以上は一律」

このほか、年収1000万円以上の人が一律なことも「不公平なのでは」という声もあった。

加藤鮎子こども政策担当相は今回の試算はあくまで「機械的に計算した」とし、「国会の議論に役立ててほしい」と述べている。 

少子化対策は待ったなしの状態。この試算が妥当なのかあらためて、丁寧な説明が必要だ。

加藤鮎子こども政策担当相
加藤鮎子こども政策担当相

(長野放送)

長野放送
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