今週末13日(土)に、いよいよ開幕する日本最大のレース、スーパーGT。

日本で開催されている自動車レースのカテゴリーとしては、スーパーフォーミュラと並んで日本最高峰の自動車レースだ。

その大きな魅力のひとつは、やはりクルマ。

スーパーGTではGT500とGT300、速さの違う2つのクラス、合計40台以上がサーキットを混走。バラエティに富んだマシンがコース上で激しいバトルを展開する。

その中でも、日本の3大メーカーであるトヨタ、日産、ホンダが参戦するGT500クラスでは、各メーカーが威信をかけて特注のマシンを開発。

時速300kmを超えるスピードで走る“世界一速いハコ車”。

そう呼んでも過言ではない、モンスターマシンがサーキットを駆け抜ける。

そのマシンの魅力を2023年のGT500シリーズのチャンピオンチーム、TGR TEAM au TOM’Sを率いる、伊藤大輔監督(48)に直接解説してもらった。

「レーシングカーなので一番の特徴と言うと軽さ、それから車体の重心の低さです。そこが一番、レーシングカーとして速く走るために必要な部分になってきます」

ボディにカーボン素材を使うことにより、マシンの最低重量は1,020kgと、軽自動車並みの軽さを実現。

そして、マシンのバンパー下部と路面の間は、こぶしも入らないほどのスレスレの低さになっている。これが、このマシンを時速300kmで走らせるために、もう一つ重要な要素なのだ。

伊藤監督
「やはり時速300kmで走ろうと思うと、もっともっとこうダウンフォースといって、車を下に抑え付ける力が必要になってくるので、車のありとあらゆるところに、空力的にスムーズに走りながらもきちんとダウンフォースを出せるというようなデザインが施されています」

空気を利用してクルマを路面に強く押し付ける力、「ダウンフォース」をいかに発生させるか。

それがタイヤのグリップ力を上げ、ストレートの速さと、コーナリングスピードを限界まで引き上げるのだ。

そのダウンフォース獲得のために、創意工夫が凝らされているのがエアロ(空力)パーツの部分。

伊藤監督
「富士スピードウェイのコースはホームストレートが(1.5kmと)長いので、空気抵抗をできるだけ減らしたいというところで、他のサーキットに比べるとウイングの角度が(横に)寝ているんですよね。もう少しテクニカルな、コーナーの多いサーキットですと、もう少しウイングを立てるような形にします。空気抵抗は増えますけども、その分クルマを下に押さえつける力は強くなるので、コーナリングスピードが速くなります」

さらに、こんな空力パーツも。

伊藤監督
「マシンの後ろの部分は大きなリヤウイングが付けてあるので、ダウンフォースは出やすいのですが、フロント部分はなかなか出にくいので、(バンパーコーナー部に)『カナード』と呼ばれる(ブーメラン状の)空力パーツを付けて、各メーカー試行錯誤しながらこのレイアウトやアングルを、本当にもう数ミリ単位で考えて作っています」

車体の上を通る空気だけでなく、車体の下を通る空気をも、どう利用するか。その工夫が細部にまで施されているのだ。

伊藤監督
「タイヤのタイヤハウス、そこからどういう風に空気が流れてきて気流を制御するために、このマシンの横の空力パーツもかなり考えられて作っていますね。それでリヤの部分を見てもらうと分かるんですけれども、マシンの前から入って下を通ってきた空気を後ろに、後ろに、綺麗に上にはね上げるように、このリヤの空力パーツの角度とかも非常にもう、各メーカーがすごく繊細に作り込んでいます」

伊藤監督は、このマシンの魅力を語る。

「SUPER GTのGT500クラスのマシンというのは、“ハコ車”のもう本当に世界一速い車って言っても過言ではないですね」

コンマ1秒でも速く走るために。各メーカーが総力を結集して作り上げたGT500のマシン。

その創意工夫が結実する舞台へ。モンスターマシンたちもその時を待ち侘びている。

スーパーGT2024シーズンは4月13日(土)、岡山国際サーキットで幕を開ける。

(映像提供:GTA)

「Monday MOTOR SPORT」
フジテレビ系「FNN Live News α」内で放送
毎週月曜23時40分~

スーパーGT2024
4月13日(土)14(日)開幕戦・岡山国際サーキット
SUPER GT.net | SUPER GT OFFICIAL WEBSITE

トヨタイムズ
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