スペインのサグラダ・ファミリアの「イエス・キリストの塔」が、2026年完成予定であると報告された。
サグラダ・ファミリアは、コロナ禍で財政難に陥り工事が滞っていたが、訪問者数が回復し、建設が最終段階に入った。

建設は最終段階に

スペインの世界遺産サグラダ・ファミリアのメインタワーが、2026年に完成予定であることが年次報告書でわかった。

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サグラダ・ファミリアは2020年以降、コロナ禍において観光客などを受け入れることができず、寄付などが激減。財政難に陥り、工事が滞っていた。

建築家・アントニ・ガウディの没後100年にあたる2026年の完成を目指していたものの、地元メディアなどで「ほぼ不可能」と報じられていた。

2023年の年次報告書によると、訪問者数が2023年が約470万人と、コロナ禍前の2019年とほぼ同じ訪問者数に戻り、建設工事費用も回復。
建設は最終段階に入り、サグラダ・ファミリアの「イエス・キリストの塔」が2026年に完成する予定だ。

着工から140年以上たっても、建設作業が続いている未完の傑作「サグラダ・ファミリア」。
そもそも、このサグラダ・ファミリアとは、どんな建物なのだろうか。

スペインが生んだ天才建築家ともいわれるアントニ・ガウディが設計。
1882年に着工し、壁面には数千もの彫刻が刻まれていて、「石の聖書」とも呼ばれている。

建築物正面部のデザインを指す「ファサード」が3つと、聖書の登場人物を象徴する18本の塔で構成されている。

2023年の訪問者は470万人以上。
85%が国外からの来訪で、日本からも年間10万人以上が訪れるなど、スペインの代表的な観光名所となっている。
収益は1億2690万ユーロ、日本円で200億円以上だ。

全体が完成するのは10年後

サグラダ・ファミリアの建設は140年以上続いているが、本当に完成するのだろうか。

その道のりは、さまざまな苦難の歴史続きだった。
ガウディが亡くなったあと、1930年代後半に起きたスペイン内戦で建設が中断され、ガウディが残した、設計図・デザイン・模型など多くが破壊された。

ガウディ構想の完全実現が不可能になり、建設を続けるべきかという議論になったが、あとを継いだ弟子たちが、ガウディの言葉や壊れた模型の破片など、わずかな手がかりを頼りに建設を続けることになった。

さらに最近では、2020年のコロナ禍で14か月間にわたって閉鎖。
建築費用を寄付と入場料収入だけでまかなってきたため、建設継続ができなくなった。
ただその後、コロナが落ち着いてきた2021年夏に営業を再開した。

2021年11月の映像では、建物の向かって右側上にあたる部分に約5.5トンの巨大な星がつけられて、高さ138メートル、18の塔の内では2番目に高い塔となる、「聖母マリアの塔」が完成した。

その後も建設は進み、現在までに13本の塔が完成している。
そして、設計者ガウディの没後100年にあたる2026年には、高さ172.5メートルあるメインタワー「イエス・キリストの塔」が完成予定と報告された。

サグラダ・ファミリア公式YouTubeには、メインタワー「イエス・キリストの塔」の完成予想のシミュレーション動画が公開された。
ただ、あくまでメインタワーの完成予定であり、サグラダ・ファミリア全体が完成するのは10年後の2034年ごろと見込まれている。
(「イット!」 3月27日放送より)

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