住宅街の用水路で兄弟が…

福岡・大木町の住宅街にある幅3メートルほどの用水路。
6月2日、ここで小学2年と5年の兄弟2人が溺れて亡くなる痛ましい事故があった。

横溝地区 江口勝敏区長:
(釣りに来た子どもたちは)ここから降りて、ここに乗ったりして釣りよった。まさかそんな…って、そのまさかが起きるのが事故だから

田畑が一面に広がる大木町は、農業用の用水路が町の面積の実に14%を占め、全長にすると約215kmにもなる。

そのほとんどを町が管理していて、町では、通学路沿いや地域から要望があった場所には、救命用のポリタンクを設置するなどしていた。
しかし、今回事故のあった場所は、通学路ではなかったことや、ガードレールが設置されていたため、町は危険箇所と認識せず、安全対策はとられていなかった。

兄弟2人が溺れた現場の水深は、約3メートル。岸が土手だった以前の用水路は、万一落ちてもつかまれるような草などがあったが、整備が進んだ今は、一度落ちるとはい上がるのは困難だ。この地区の区長を務める江口勝敏さんは、周辺の住民から「危険な用水路」として知られていたと話す。

横溝地区 江口勝敏区長:
後から後悔した。兄弟を見かけたときに、なんで…。やかましく言えばよかったねって、悔しい

危険箇所盛り込んだ地図を作成し注意喚起へ

大木町では事故後、現場のほか、護岸が垂直となっている場所、合わせて4カ所について、人が入れないよう網を張る応急措置をとっている。

しかし、こうしたハード面での対策には限界があるため、町では、地域の住民を巻き込んだ対策にかじを切った。

町では、教職員や保護者に危険箇所と思われる場所の洗い出しを依頼。それを元に教育長などが、現地の点検を行った。
町では、7月中にも危険箇所や注意点を盛り込んだ地図を作成し、子どもたちに配れるようまとめる作業を進めている。

大木町 北原孝徳教育長:
子どもや保護者に呼びかけて、近づかない、気を付けて遊ぶ、通る、そういった合わせて安全指導が必要かと思います

冠水しなくても側溝では“危険な現象”も

一方…、道路の隅にある小さな水路、いわゆる「側溝」。
専門家によると、国や自治体が道路と合わせて管理しているが、ふたがない所もあり、道路が冠水すると見分けが付かずに転落する恐れがあるという。

さらに、冠水にまでは至らなくても、側溝では特有の危険な現象が起きると指摘する。
それは、「ウォータースライダー現象」。

水難学会 斎藤秀俊会長:
例えば大雨が降って、水が集中すると、流れに足をすくわれて転倒する、尻餅状態になると、そのまま下流に流されていく

あたかもウォータースライダーを滑り降りるように側溝を流されてしまう危険な現象。
大量の雨水が流れ込むと、傾斜のある側溝では、水の流れも速くなり、子どもは転倒してしまうこともあるという。
そして、流れた先にあるのが「集水桝(しゅうすいます)」。

水難学会 斎藤秀俊会長:
そこに入り込むと、垂直に穴が掘られているし、上からどんどん水が来るので、なかなか自力でははい上がれない場所になる

集水桝は、ゴミの集積や複数の水路の合流を目的にしたもので、おおむね15~20メートル間隔で設置され、大きなものは2メートルほどの深さがあるために、落ちると極めて危険だ。
ウォータースライダー現象で側溝を流された場合、わずか数秒で集水桝に落ちてしまう恐れがある。

水難学会 斎藤秀俊会長:
(全国で)これまでも数年に1回、子どもが流されて亡くなってしまう事故が発生している。大雨が降ったら、水路と呼ばれる場所に絶対に近づかないということが重要

普段は見えにくい身近な水路に潜む危険。
まさかの水の事故を防ぐため、雨の日の通学路を点検するなど、意識を高めて周囲を点検することが大切となる。

(テレビ西日本)