20代若手社員の意識調査によると、直近1年間で44.3%の若手が「仕事をやめたい」と感じており、自分の仕事に自信が持てない若手社員が約4割いることも分かった。時代の変化が激しく困難が多いため、立ち向かわずに受け止めるしなやかさと回復力が重要と、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんは指摘する。

20代社員「仕事を辞めたい」約半数

「仕事を辞めたいと思ったことがある」、若手社員の2人に1人がそう答えている。

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人材育成などを行う「リ・カレント」が発表したのは、20代若手社員の「働く」ことに関する意識調査。

直近1年間で「仕事をやめたい」と考えていた若手社員は、44.3%で「2.2人に1人」という結果になった。
理由は、「自分には向いていない・適性がないと思う」が41.1%、「給与・収入が希望条件ではない」が30.4%、「職場の人間関係が好ましくない」が26.9%となっている。

「仕事が自分に向いていない」と思う人が多いからなのだろうか。「自分の仕事の成果やパフォーマンスが周囲に比べて下回っている」と感じる若手社員は、約4割。さらに、「職場に迷惑をかけている」と、4割弱の人が思っているようだ。

街の人に話を聞くと…。

30代 貿易関係:
転職は何度か経験があります。実際もらっている給料が低いっていうのもあった。当時は非正規だったってこともあって、正社員として働きたいという思いはとても強かった。

ーー(当時)怒られていないのに迷惑かけていると思ったことは。
30代 貿易関係:
実際そういった経験は何度かある。接客業やっていたときに、他のお客様とかに迷惑をかけてしまったのではないかと思ったことがある。

ーー今まで転職や仕事を辞めたいと思ったことは?
20代 金融関係:

ないです。周りの同期と仲がよくて、会社の人も周りの人も優しい人が多かったから。

20代 美容関係:
あります。コロナの影響でお客様が減ってしまい、その時、百貨店で働いていたが、本当に閉鎖みたいな感じだった。モチベーションが下がり転職。ちょうど2~3年たった時に、転職している友人もいて、(理由は)一番は職場の環境、嫌な上司がいたり、そもそも上司が話を聞いてくれない、人間関係が多い。

自信を持って仕事ができる環境や雰囲気作りには、周りの理解と協力が必要なのかもしれない。

40代 建設関係:
今の会社にいることに魅力を感じるようにしてあげないといけない。見て声かけをするとか、よく話をして、モチベーションを上げるとか、そういうことを意識して接してあげなきゃいけないなと。

時代にあったしなやかな回復力が重要

「Live News α」では、働き方に関する調査・研究を行っているオルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
仕事を辞めたいという若手社員、どうご覧になりますか。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
自分も管理職時代に、新卒社員をたくさん見てきたが、「自分は向いてないかも」と思ったり、自信を失くしてしまうのは、ほぼ全員が通る道。私自身もそうでしたし、そういった経験がある人は多いのではないかと思う。

そういう人たちに対して「慣れるまで頑張れ」と言うのは簡単ですし、「すぐに向いてる・向いてないを判断するな」と言うのも簡単です。ただ、新しいことに取り組んで最初にうまくいかずに、自信をなくすというのは新卒社員に限らず皆あることなのではないかと。

堤キャスター:
仕事の経験を重ねてきた方でも、自分を責めてしまうこと、ありますよね。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
例えば転職したら、また一から新しいことを覚えるまでは苦労するかもしれないし、色々なことを学び直していく上でも、最初は非常に難しく途中で諦めてしまいがち。

そういった最初のハードルを超えて、慣れるまでやるために重要な考え方が「反脆弱性」や「レジリエンス」という考え方があったりします。どちらもビジネスの中で、数年前から注目されてきている概念だが、困難があった時にそれをどう消化して受け止めるか、そしてそこから回復するかが重要という考え方なんです。

以前は困難に立ち向かうことが重要とされていたが、今は時代の変化が激しく、困難にぶつかることが増えている。だからこそ、一つ一つに立ち向かうのではなく、なにか困難があっても、それをしなやかに受け入れて、回復していく力の重要性というものが上がっている。

反脆弱性・レジリエンスを言葉で伝える

堤キャスター:
先輩や上司として、自信を失くしてしまった若手社員への接し方、どうすればいいのでしょうか。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
反脆弱性やレジリエンスという考え方は、技術として後から身につけられるものだし、年齢と経験を重ねるなかで実は身につけている人も多い。

なので、今回の調査も「Z世代はこういう傾向」と片付けてしまうのではなく、誰でもぶつかりうる困難に対して、どう受け入れて回復するか。

そして、反脆弱性やレジリエンスを、どう身につけてきたのかを言葉にするといい。それを次の世代に、感情論ではなく、技術としてどうやって伝えていくのか、という意識が重要なのだと思う。

堤キャスター:
本当にやりたいことを仕事にできている人は、ごくわずかだと思います。自分の頑張りを認めた上で、今やっていることの中で、一つでもやりがいだったり、小さな楽しさを見つけるために努力するということも、必要なのかもしれませんね。
(「Live News α」3月14日放送分より)