Indeed Japanが行った調査によると、働く女性の8割以上が、男女間で賃金格差があると答えた。課長以上の役職にある女性が最も賃金格差を感じる傾向にあり、石倉さんは、制度設計における落とし穴の自覚と定点チェックの必要性を強調する。

「男女間で賃金格差」役職上がるにつれ

求人情報サイトを運営する「Indeed Japan(インディードジャパン)」が行った、働く女性の就労環境などに関する意識調査。

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働く女性に、男女間で賃金格差があるかを聞いたところ、「ある」と回答した人は、8割以上にのぼった。

さらに、このうち58.0%は「今後5年間で、賃金格差が解消する可能性は低い」と考えていて、「可能性が高い」(10.6%)と思う人の、5倍以上にのぼった。

また、格差を感じている正社員の女性を役職で分けると、最も高かったのは「課長以上」で94.1%。次いで、「主任・係長」、「一般社員」と続き、役職が高くなるほど、賃金格差を感じる傾向が強いようだ。

Indeed Japanは、今回の調査について、「過去10年間を振り返ると、男女格差は是正されてきているが、今後も、格差の解消に向けた努力は必要」とコメントしている。

バイアスや偏見による格差も

「Live News α」では、科学技術分野でのジェンダーギャップの解消を目指す、山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
科学技術分野でのジェンダーギャップの解消に取り組んでいる石倉さんの目には、男女の賃金格差、どう映っていますか。

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
男女平等や、ジェンダーギャップ解消に対する意識は、以前より高まっていると思う。

ただし、2023年から会社内における男女の給与格差の公表が上場企業に義務付けられたが、平均で約30%の男女格差がある。この30%のうち半分の15%分は、制度や職種などによるものや、男性の勤務時間が長いことが影響している。

もう半分の15%分は、私たちのバイアスや偏見など、説明できない要因による格差であると、いくつかの分析が指摘している。

堤キャスター:
石倉さんは、現在の活動を通じて、さまざまな分野の女性と接触する機会も多いかと思いますが、どういう声がありますか。

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
女性は「管理職になりたがらない」とよくいうが、よくよく話を聞いてみると「今の上司のような働き方はできない。それと同じことが求められるなら、なりたくない」というのが本音。

つまり、長時間労働したり、毎日のように飲んだりといった働き方のスタイルが尊重されるのであれば、それはできないということ。

今回の調査を見ても、男女の格差は是正されないだろうと、ある種の諦めへとつながっている。なので差を生み出す制度の是正はもちろん、その奥にある企業の文化や、働き方を根本的に見直すことが重要。

制度の落とし穴の定点チェックが重要

堤キャスター:
あり方をどう変えていくかで、そのポイントはどこにあるのでしょうか。

山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん:
成果主義が行き過ぎると、男女差が開いてしまうという研究報告もある。結局、成果を出した「量」で評価すると、長く働ける人が有利になってしまう。

そういった制度も、作り方一つで格差を作り出すこともできてしまうし、逆に、格差を縮めることもできる。

さまざまなところに、格差を生み出す落とし穴があることを自覚して、制度を設計すること、さらに、その落とし穴で差が生まれていないか、定点チェックしていくことが必須になる。

また、ジェンダーの話になると男性vs女性の構図になりがちだが、それでは何も生まれない。性別に関係なく自分の力を十分に発揮できて、それが正当に評価される社会の方がいいよね、それは今できていないから一緒に考えようと、共通の目的に向かって連帯できる雰囲気を作れるかも重要。

堤キャスター:
どう働きたいかは人によって異なりますし、賃金は仕事の内容や責任に伴い発生するものです。それぞれが心豊かに生活できる環境を目指しつつ、何かを平等にするための取り組みが、新たな不平等につながらないように、問題の本質としっかりと向き合う必要があるように思います。
(「Live News α」3月13日放送分より)

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