東日本大震災が発生した2011年には生まれていなかった子どもたち。当時をその目で見ていなくても、震災を学び行動する小学生がいる。

地域防災を考える小学生

福島県白河市の大信小学校に通う6年生の小澤勇登さん。卒業を前に忘れられない思い出ができた。

白河市の小学生 小澤勇登さん(12)
白河市の小学生 小澤勇登さん(12)
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2024年2月、福島市で行われた「ふくしまジュニアチャレンジ」の表彰式。「地域の防災」をテーマに子どもたちの優れたアイデアや活動を称えるもので、小澤さんは196件の応募の中から、活動部門でグランプリに輝いた。

地域防災 活動部門でグランプリ
地域防災 活動部門でグランプリ

たまたま通りかかった公園

「ここは東日本大震災のときに、地すべりが起こって13人の方が亡くなった場所です。この新しくできた道沿いをお母さんと車で走っているときに、この人気のない公園を見つけました」と小澤さんが案内してくれたのが「葉ノ木平震災復興記念公園」。震災の記憶を後世に伝えるため、2016年に完成した公園が防災に取り組むきっかけとなった。

小澤さんが防災に取り組むきっかけとなった公園
小澤さんが防災に取り組むきっかけとなった公園

同じ世代に伝えたい

東日本大震災で震度6強を観測した福島県白河市。葉ノ木平地区では大規模な土砂崩れが発生し、13人が犠牲となった。

2011年3月11日 白河市では震度6強を観測
2011年3月11日 白河市では震度6強を観測

小澤さんは「この地滑りのことを、地域の人たちは“山津波”って言っていたようで、震災を経験してはいないけれど、この公園をもっと温かい場所にして、震災を繋いでいこうっていう思いがあります」と話してくれた。

大規模な土砂崩れで13人が犠牲に
大規模な土砂崩れで13人が犠牲に

地域の住民や当時救出活動に携わった消防士などから話を聞き、震災のことを学んだ小澤さん。「ここで何があったのかを同じ世代に伝えたい」という気持ちが強まった。

知るたびに伝えていく大切さを実感
知るたびに伝えていく大切さを実感

学んだことを形に

そこで、協力をお願いしたのが…小澤さんが「防災の手本」と呼ぶ近藤功歩さん。近藤さんは、2022年に葉ノ木平の復興記念公園で防災イベントを企画した経験があった。

2024年に高校を卒業した近藤功歩さん
2024年に高校を卒業した近藤功歩さん

「話を聞きたいと言われたときに、当時けっこうびっくりした。自分の代だけじゃなくて下の代も頑張ってくれる、一緒に頑張ってくれるって状況はすごく有難いことだと思う」と近藤さんはいう。

防災イベントを企画した近藤さんにアドバイスをもらう
防災イベントを企画した近藤さんにアドバイスをもらう

小澤さんは「イベントを小学生でも実施していいのかすごく不安だったけど、近藤さんに災害を風化させないように一緒に頑張ろうと励ましてもらって、イベントを行っていいと自信がつきました」と話す。

地域防災に取り組む高校生と小学生
地域防災に取り組む高校生と小学生

小学生が企画する防災イベント

イベントのテーマは「防災公園を体験しよう!」震災を経験していない小学3年生から6年生を対象にした。

小澤さんが企画した防災イベント
小澤さんが企画した防災イベント

災害時には「かまど」になるベンチを使ってカレー作り体験を行い、公園の役割と防災機能を参加者に紹介した。

公園の役割と防災機能を参加者に紹介
公園の役割と防災機能を参加者に紹介

中学生になっても続ける

この春から中学校に進学する小澤さん。震災の記憶と教訓を語り継いでいく活動は、これからも続けていくつもりだ。

2024年春からは中学生に
2024年春からは中学生に

小澤さんは「備えの一環として、この防災公園の機能や歴史をとても深く知ることで、また同じような災害が起きたときに苦しむ人が少しでも減ると思います。災害を経験していない僕のような人たちにも、イベントで学んだことを多くの人に共有できるように、これからも頑張っていきたいと思っています」と話した。

過去の震災を知る事で減災に
過去の震災を知る事で減災に

(福島テレビ)

福島テレビ
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