3月8日は国際女性デー。イット!の榎並大二郎キャスターと宮司愛海キャスターが、若者の性について取材した。
性的な行為を行う際に、相手の同意があったのかどうか、いわゆる「性的同意」をめぐる性加害事件や、報道が増えている。

著名人や、社会的な立場が上の相手から迫られた、というケースもあるが、実は若い世代の42%が、性的同意が具体的にどういうものか、正直わかっていない」そして38.6%が「気が乗らないのに性交渉に応じた経験がある」とのアンケート調査結果がある。
若い世代のみなさんは、性的な行為の際に、“本当のイエス”どう確認しているのか どんな不安を抱えているのかを取材した。そして、私たちはこうした悩みにどう向き合っていけば良いのか、「性にまつわる知識」を積極的に発信しているSHELLYさんと一緒に考えた
若者は同意を得て行為に至っているのか?
私たちは街に出て若者たちに聞いてみた。
ある女性は「誘われても断れないとかで、そのままいっちゃったりしている友達とか聞いたりする」と話す。怖くて「NO」とは言えないというのだ。「気になっている人とだったら、NOと言って、嫌われたらどうしようと考える」という。アプリなどで知り合って、自分はそのつもりがないのに、相手がそういう目的ということもあると話す。

榎並キャスターが20代の男性に話を聞くと、酒で酔った勢いで、相手の女性からホテルに連れて行かれたが、相手は憶えていなかったということがあったそうだ。
榎並キャスター:
相手が記憶がないと知ったときは?
20代男性:
焦りますね、やっぱり
別の20代の男性は女友達から、「お酒の席で酔って、朝起きたら男性といた」という話をよく聞くという。
10代の女性は、友達の男女の話として「女性側が断れなくてしてしまった。男性側に話を聞いたら、『女性側がそういう雰囲気を出していた』と話していた」そうだ。その場が密室だったため、女性側は逃げ場が無かったという。
「言いにくい」ならどうすれば
同意を得たとは言いがたい状況で性行為に至ってしまう若者達。言いたくても言いにくいという声が多く聞かれた。では、どうすれば良いのか?自身のYouTubeチャンネルで、若い世代にむけた性の情報発信を、数年前から続けている、タレントのSHELLYさんに、宮司キャスターが話を聞いた。

SHELLYさんは、同意のない性行為は犯罪になり得ることを明確化し、2023年7月に施行された「不同意性交罪」について、その法改正の国会審議に、参考人として発言している。
まず、性的同意とはどういうことかを聞いた。

SHELLYさん:
私がいつも使っている性的同意の定義っていうのは、すべての行為に対して、毎回とらなければいけない、今、ここで、あなたと、この行為がしたいっていう確認です。
すっごくわかりやすい動画で、ティーコンセントっていうのがあるんですけど、相手にお紅茶を勧めた時に 例えば、「あ、大丈夫です」って言われたら、無理矢理飲ませないよねとか、相手が酔っ払って寝てるところにお茶ぐびぐびって、飲ませないよねとか

宮司愛海キャスター:
確かに置き換えてみるとわかりやすいですね。若者からは、いい感じになった時にわざわざ大丈夫?いい?って言うとムードが崩れるんじゃないかという声もありました。

SHELLYさん:
それはあの、下手くそなんですよ(Qなるほど、手厳しい)そういう言葉の確認が、むしろ燃え上がる時ないですか。
宮司愛海キャスター:
逆側に作用することありますね
SHELLYさん:
そうなんですよ。すごく上手な人って、その確認もなんか楽しめるというか。今回なんかムード壊れちゃったから、次言う時はもう、ちょっとこういうタイミングで言おうかなとか、こういう風に聞いてみようかなとか。手が触れた瞬間だったり、どのぐらいの距離感でしゃべるかとか。
そういうところから、実は、性的な触れ合いって始まっているので、そこの部分からいっぱい練習して、その技をつけていくというか、そのコミュニケーション能力を高めていくっていうことは、実は、全体のその性行為をよくする大事なポイントだなってすごく思います。

宮司愛海キャスター:
街の声であったのが、本当はそんなに気が乗らないんだけど、NOっていっちゃうと気持ちがない訳でもないし、次以降気まずくなるから、ここはのっておこうと。
SHELLYさん:
これも本当によく聞くんですけども自分が断ってしまうと嫌われてしまうかもとか、自分が断っちゃうと、自分が(相手を)好きじゃないって思われちゃうかもっていう不安を抱いている人は、私のこと本当に大事にしてるのかな。俺のことちゃんと見てくれてるのかなって、思ってもいいのかなって思います。

宮司愛海キャスター:
例えば相手の家に上がって、密室の状態でNOをどういうかって言う
SHELLYさん:
これも大前提で相手の家に行くっていうことは、相手の家に行くっていうことに対する同意でしかないので。(Qそこから先を保証するもんじゃない)そもそも、そこから先って何。その先に手をつなぐのか、キスをするのか、性行為をするのか、っていうのはその都度やっぱりちゃんと確認して、相手がすごく気持ちがのっているかどうか、っていうのを確認しなきゃいけないよね。

宮司愛海キャスター:
極端だなって個人的に思うんですけど、じゃあ、毎回契約書を書くのかみたいな声も、ちらほらやっぱり聞くことも
SHELLYさん:
はい、でも契約書も、実はすごく問題で。今、それこそ性的同意アプリみたいなものも、ちょっとずつ出てきたりしているんですけど、全部確認したわけじゃないですけど、いくつか私が確認した中では「私は酔っぱらってません。これに同意します」って言うのを、こうポチポチってしていくんですけど、その後に飲んだ場合はどうなるのかとか
宮司愛海キャスター:
若い世代の声で、お酒を飲んでいる状態で判断が正直つかないときもあるじゃないですか。そういうときに言っていいのか迷うって言うこともあったんですけど?

SHELLYさん:
迷ったら辞めましょう。ベロンベロンに酔っ払わないと一歩目踏み出せないって言うことはやっぱりちょっと抵抗がある。しっかり確認できるときにすることかなって思います。
人のNOもリスペクトを
3人の子どものママでもあるSHELLYさんは、子どもたちが2歳の時から性教育を始めている。性的同意の重要性を伝えるために、大切にしている“約束”があるという。

SHELLYさん:
例えば、我が家では「やめては2回言わせちゃダメだよ」っていうルールがあるんですけど、子供と遊んでてキャッキャキャッやめてって言われたら絶対やめる、一回で。もう1回やってって言われたらやりますけど(笑)。あなたのNOにはパワーがあるそれをリスペクトしてくれない人は、あなたを大事にしてない人だから、その人は離れていいんだよ。人のNOも、必ずリスペクトしなきゃいけないよっていうことをすごく口酸っぱく伝えてます。
自分の「NO」も、相手の「NO」も大切にする。それが、性行為による被害者、そして、加害者を減らすことに繋がる。
SHELLYさん:
どんなに気を付けていても、どんなに賢い生き方をして、いい選択をしていても性被害に遭う可能性ってあるんですよね。だけど加害者を生まない教育っていうのがすごく大事で、加害者にならないためにどうやって相手を大事にできるか、相手の同意とか相手の気持ちをどうくめるか、っていう教育って、すごく簡単なことでできると思う。

宮司愛海キャスター:
本当に“性的同意”っていう言葉だけが一人歩きしてしまうと、すごくハードルが高く感じたり、気遅れしたりしてしまうかもしれませんけど、本来はそういう性的な行為って素晴らしいものだよっていうのを、やっぱり知ってほしい。
SHELLYさん:
そうです。みんなでお互いにネガティブな感情にならないための気遣いだったり、その知識みたいなものをつけていくって、すごく大事。
性教育って言うのはやっぱり知っているのと知らないのとでは、この先の人生が全く違う人生になってしまうものなので、全員に平等に与えなければいけないものだと。本当に、だから人権だと思うんですよね。知ることが。