いま、“最もチケットが取れないピアニスト”の異名をもつピアニスト・指揮者の反田恭平さん。
そして、彼がプロデュースするスターソリスト集団の「ジャパン・ナショナル・オーケストラ(以下JNO)」。

クラシック界で熱い注目を集める彼らが贈る「反田恭平&ジャパン・ナショナル・オーケストラ コンサートツアー2024」が2月26日、東京・サントリーホールで千秋楽を迎えた。
JNOが奏でる研ぎ澄まされた音色と、ピアノを弾きながら指揮を振る反田さんの鬼気迫る“弾き振り”に、サントリーホールの2000人が釘付けになり酔いしれた。
構成は、前半にラヴェル『クープランの墓』(管弦楽版)、プーランク『ピアノと18の楽器のための舞踊協奏曲 「オーバード」』(ピアノ:反田恭平)というフランスの作曲家による楽曲を。
後半は『歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲』と『ピアノ協奏曲第20番 ニ短調』(ピアノ:反田恭平)というモーツァルトの楽曲を披露した。
全国10都市12公演はほとんどソールドアウトとなり、その人気ぶりを改めて全国に轟かせた。
千秋楽で演奏は最高潮に

反田さんは、20代最後となった今回のツアーについてこう振り返る。
「JNOとしてフランスの音楽を演奏するのは初めてだったので、どんな響きになるのだろうとワクワクしながらリハーサルに臨みました。
メンバーたちが最初からものすごく練習してきてくれたおかげで、初日から大変いいサウンドが体験できた」
1公演ごとに演奏の練度は上がっていき、千秋楽が近づくにつれ反田さん自身が指揮を振らない時間が増えたという。
「指揮を振らないということは最初のうちはできなかったことだけど、1回の公演ごとに僕の意図をメンバーがくみ取ってくれる率も上がっていき、僕もメンバーに信頼して任せられるようになった」

自身も納得の出来だったが、反田さんにとってさらに大きな手ごたえになった出来事が千秋楽で起こった。
「敬愛してやまない、ピアニストのクリスチャン・ツィメルマンがコンサートに来てくれて、『こんなピアニスト見たことがない』と言ってくれました。
そして、『オーケストラが、音がキレイでいいね』と評価してくれたことが本当にうれしかった」
敬愛する音楽家からの賛辞で、20代最後となるツアーを締めくくった反田さん。
その20代は目まぐるしい活躍の日々だった。
2016年、22歳でサントリーホール2000席を完売させ、衝撃のデビューを飾って以来、コンサートは常に満員御礼。
2021年にはショパン国際ピアノ・コンクールでの歴史的な2位入賞と、快進撃を続けてきた。
音楽家の枠を超えた活動も
演奏のみならず、クラシック音楽の普及のための活動にも力を入れてきた。
コロナ禍でのいち早いストリーミング配信や、ラジオパーソナリティへの挑戦、オンラインサロンの主宰など、その活動は既存の音楽家の枠にはまり切らない。

中でも特筆すべきは、株式会社としてのオーケストラ「ジャパン・ナショナル・オーケストラ」の設立だ。
「JNOを“日本一給料の高いオーケストラ”にしたいと思っています。日本の音楽業界では、ソリストでもないかぎり、掛け持ちが当たりまえで体力的にも厳しい。
そこで、身体的、金銭的な負担を少しでも減らせるように会社がケアして演奏に専念してもらえるような環境を作っていきたい」
音楽家としての生活に欠かせないBMW
そんな反田さんと、公私ともに伴走してきたのがBMWだ。
2021年10月から反田さんをブランド・フレンドに起用して以来、車の提供やコンサートの協賛でともに歩んできた。
反田さんの愛車であるBMW M850iは、時にリハーサルの予習の場となり、録音したリハーサル音源を再生する復習の場にもなる。
新しい楽曲を車内で聞き込むこともあれば、コンサートの選曲を練ることも。反田さんにとってBMWは、音楽を育む空間であると同時に、ほっと一息つける大切なプライベート空間でもあるという。
愛車を走らせて夜の高速に乗り、ドライブすることが数少ない息抜きの時間になっているそう。

BMWの魅力について反田さんはこう話す。
「乗り心地も当然素晴らしいのですが、総合的なアシスト力が非常に高い車だと思っています。
例えば後部座席のドリンクホルダーひとつをとっても腕を伸ばさずに入れられたり、駐車の際のカメラの性能が抜群によかったり。
中でも一番気に入っているのはフロントウインドウがモニターになるところですね」
BMW M850iには、ヘッドアップ・ディスプレイというシステムが搭載されており、フロントウインドウにナビや走行速度が表示される。
「これが、かっこいいだけでなく、目線を下に向けなくていいのでとても安全に運転できます。
制限速度を超えるとオレンジ色になったり、ここに気を付けてくださいというメッセージが出たり、まるで秘書のような感じですね」
いまや音楽家生活にも欠かせない存在だが、BMWに出会うまでは免許すら持っていなかった。
「少ないオフの日は家にこもってゲームをしていたいタイプ」だったという反田さん。
免許を取ったきっかけは、BMWが提供する若手の才能ある人にフィーチャーしたミニ番組の取材を受けたことだった。
「免許を持っていなかったので止まった状態でしたが、X7に乗せてもらい『車ってこんなにかっこよかったんだ』と初めて思ったんです。
それで、『今から免許をとったらアンバサダーにしてもらえますか?』と聞いて、すぐに合宿に行って取りました(笑)」
そんな反田さんも今は結婚し、第一子に恵まれた。
「最初は1人だったけれど、乗る人が2人になって、3人になって。これまで以上に運転に対する責任を実感しています」
BMWにふさわしいチャレンジ精神
反田さんをブランド・フレンドに抜擢したのは、BMWのブランド・コミュニケーション マネジャーの井上朋子さん。
自身もアマチュアピアニストとして活躍し、クラシック音楽に造詣が深い。

井上さんは、反田さんを起用した理由についてこう話す。
「反田さんは、素晴らしいピアニストであり、指揮者であり、企業家でもある。彼のチャレンジ精神と企業家スピリットがBMWのブランドと非常にマッチしていると感じました。なので、免許を持っていないことも承知でオファーしたのです」
BMWは反田さんに車を提供するのみならず、音楽面でもバックアップ。
今回のツアーでは東京3公演に特別協賛し、さらに2月21日は抽選で600組1200名様を招待しBMW向けの貸し切り公演も行われた。

「今回のツアーは、近現代のフランス音楽から始まり、オーソドックスなモーツァルトで締めるという対比もいいし、今のJNOの切れ味が存分に引き出された構成だと思いました。
そしてなんといっても反田さんの“弾き振り”のすごさ。ピアノコンチェルトを弾くだけでも大変なのに、頭の中はどうなっているのだろうと観るたびに思ってしまいます」
井上さんは、BMWがこうした文化事業をサポートすることについて、ラグジュアリーブランドとしての社会的責任があるという。
「こうした文化を次の世代につないでいくことも私たちの大切な役目の一つでもあると考えています」
JNOを日本一のオーケストラに
BMWが惚れ込むチャレンジ精神と起業家精神持つ反田さん。
来る30代にはどのようなビジョンを持っているのだろうか。

「まず、ピアノには引き続き力を入れていきたいと思っているとともに、指揮者としてはヨーロッパで経験を積んでいきたいと考えています。
そして、JNOを日本一の、世界から認められるオーケストラに成長させていくことが自分の使命だと思っています。いずれは海外のメジャーレーベルと契約できたら最高ですね」
さらなる高みを目指すJNOでは、この3月から新たな団員を募集するという。
30代の反田さんとJNOは、きっと想像を超えた進化を遂げていくことだろう。