熊本市中央区の子飼商店街で3カ月に1度、開催される『子飼100円笑店街』。多くの買い物客が訪れ、長い行列ができます。大安売り、大にぎわいの一日に密着しました。

「いらっしゃーい!はい、100円よ、100円よ」

2023年12月2日熊本市中央区の子飼商店街です。「庶民の台所」「熊本のアメ横」と呼ばれ、昭和の匂いが漂う古き良き時代の商店街として愛され続けています。

ここで3カ月に一度、行われている『子飼100円笑店街』は、商店街全体を100円ショップに見立て、選りすぐりの商品が並ぶ1日限定のイベントです。生鮮食品、靴下、タオル、総菜など普段は100円では買えない品物が選び放題です。

【種苗店主と買い物客のやりとり】
「これは蔓がピーンと伸びるやつですよね」
「そう」
「少し今、植えているんですよ」
「やっぱり楽しみじゃん、育っていくと」

【買い物客】
「昔、すごくにぎわっていたから、その時を思い出して楽しいです」

【商店主】
「こちらも楽しんでやっています。次は何を出そうかなと考えたりしながらやっています」

【買い物客】
「初めて来ました」
(お子さんたちの反応は?)
「おいしかった」
「まだいっぱい食べたいね」
「あんこみたいなの、小豆みたいなの、豆がおいしかったよ」
「おぜんざいね」

【商店主】
「3カ月に1回ですけど、お客さんに喜んでもらうためには、こういうこともやらないかんでしょうね」

【買い物客2人のつぶやき】
「フジモトさんの分、どうしましょう?」
「フジモトさん、焼き芋でいいんじゃないと」
「焼き芋とおにぎりでいいですかね?」
「分からん。焼き芋とおにぎりね?」
「ないですかね?」

すでに売り切れている商品もあり、1つで100円かと思いきや2個で100円、まとめて100円などという商品もあり、店側に利益が出るのか、心配です。

【子飼繁栄会商店街振興組合 渡辺 正宏 代表理事】
「はっきり言いますと、儲けはないんですけれども、自分の店を知ってもらうことと商店街を知ってもらうことで、毎回多くのお客さんが来ておりますので、この時ばかりは利益を捨てて、お客さまに喜んでもらうという企画です。本当に大好評で、買うプラス、何かお子さんが長く遊べるようなことをと思っているんですが、なかなか手が回らない状態です」

【生花店主】
「いらっしゃいませ、こんにちは」
取材者「すみません、ここで何年お店をされていらっしゃいますか?」
「私が来て54年かな」
取材者「その前からこのお店はあったんですか」
「うん、嫁に来て54年、ずっとしてるから」
取材者「きょうみたいにイベントでにぎわってるのを見てどう思われますか」
「懐かしいと思った。前はこのくらいじゃなかったんだよ」
取材者「もっと?」
「もっとなんてもんじゃない、人が通られなかった」
取材者「そうですか。ありがとうごさまいす」
「おつかれさまです」

【子飼商店街振興組合 中川原 堅一郎 理事長】
「まず子飼商店街に来たことがないお客さまもいっぱいいらっしゃいますし、やっぱりそういうお客さまにまず来ていただく、お店の雰囲気を味わっていただく、すごくいい機会になっています。例えば午後の部に何か催しをやるとか、何かチョイ足ししていけばいいんじゃないかと思います」

【来店客】
「おいしいです」

課題は、買い物に訪れた人たちがさらに楽しめるイベントを用意できるかだといいます。そこを手伝ってくれているのが近くの大学生たちです。

【来店客】
「前回来た時よりもお客さんが多くてびっくりしました。子供の社会勉強にもなるし、今の若い方とお話しする機会がなかなかなくて、コロナとかもあって。すごく楽しかったです」

(熊本大学 高木 康衣 准教授の聞き取りアンケート)
「いつも利用されているんですかね?」
買い物客「もう昔からですね。70年ですね」
「70年!70年もここに通ってくださっていますか。ありがとうございます」

熊本大学の高木 康衣 准教授です。中小零細企業の事業の継続性を研究していて、訪れた人たちに買い物に来る頻度や滞在時間などアンケートを取っています。

【熊本大学 人文社会科学研究部(法学系) 高木 康衣 准教授】
「ゼミの学生と一緒にイベントに来られた方の意見を聞いて、どういうことをすれば活性化につながるか、商店街がこれからも長く続いていくために必要な工夫は何なのかを探るためのアンケート調査をして、分析結果を商店街にお返ししています。高齢の方は昔の商店街をよくご存じですので、『昔は魚屋さんがたくさんあって、お豆腐屋さんもあって』と話してくださいます。昔に戻すことは難しいと思うんですけど、これから先の地域の人にとって必要な商店街がどういうもので、それが昔の商店街を知る人にとってもこういう形で新しくなっていくということを認めてもらえるような、そういう新しい商店街をつくるお手伝いができたらいいなと思ってます」

若い学生たちは、このイベントに参加すると買い物客の多さに驚き、品揃えの豊富さや商店街の魅力に気づくといいます。

新しい形の活気とあふれる笑顔を。商店街と研究者の模索が続いています。

次回は3月2日(土)午前10時スタートです。

テレビ熊本
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