京都大学が老朽化を理由に日本最古の学生寮である「吉田寮」の明け渡しを求め、寮生を訴えた“異例の裁判”。

京都地方裁判所は、京都大学が訴えていた全面的な立ち退きは認めず、寮生側の主張の一部を認めた。

■大正2年に造られた日本最古の寮「吉田寮」

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16日、京都地方裁判所に被告として訪れた、京都大学の吉田寮の寮生たち。

「吉田寮」は京都大学・吉田キャンパスの一角にあり、「現棟」と呼ばれる建物は大正2年(1913年)に造られ、日本最古の学生寮といわれている。

吉田寮に住む学生:
ちょっと汚いですけど、6畳で二人一緒に暮らしているかたちになります

寮費は、光熱費込みで月2500円。9年前に建てられた新しい棟と合わせて、今もなお、およそ100人の学生が共に生活している。

寮の運営は、大学ではなく、寮生にゆだねられた、いわゆる「自治寮」で決めごとは、話し合いで全会一致が基本だ。

■“耐震性に問題ある”と大学は明け渡し求め訴訟

2019年、京都大学は吉田寮の耐震性などに問題があるとして、寮生に対し、「現棟」などの明け渡しを求めて訴訟を起こした。

京都大学・川添信介副学長(当時2019年の会見):
学生の安全確保のため。やむなく明け渡しを求める提訴に踏み切った

大学側は代替宿舎を用意して、すべての寮生に退去を要求したものの、一部の学生が「不法占有」を続けていると指摘。

また、2017年12月以降、新規の入寮を停止するようにも通告していた。 一方で吉田寮側はこれまでの裁判で「適切な補強ができれば建物の使用は可能」とし「学生の自治を奪おうとしている」と主張してきた。

■歓喜に沸く吉田寮生側 裁判所は京都大学の訴えを一部棄却

京都地裁は「取り壊しを前提として、耐震診断は行われておらず、それを理由に契約が困難であることは認められない」と指摘し、京都大学の訴えを一部棄却した。

「えー!やったー!」と歓喜に沸く、吉田寮の関係者たち。さらに、現在、「現棟」に住んでいる17人のうち、大学が退去通告をする以前に入寮した14人については、吉田寮の自治会が入寮選考を行うことで合意されていて、在寮契約は認められると判断した。

松村主承寮生:
敗訴したときに悲しまないように心の準備していた。思いもよらぬうれしい判決に結構びっくりしています

2017年12月以降に入寮した3人の寮生については明け渡しとなるため、今後、吉田寮側は控訴を検討するとしている。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月16日放送)

関西テレビ
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