2月6日東京・池袋の山手線で、帰宅ラッシュ時に起きた車内での火事。さらに2023年4月、煙を吸って2人が病院に運ばれた福島県福島市で起きた炎上火災。この2つの火事には、ある共通点が…それが「リチウムイオン電池」 スマートフォンやパソコン、デジタルカメラなど、私たちの身近にあるものに使われているが、取り扱いには注意が必要だ。

身近に潜む危険

「充電や使用しているときに、ちょっと熱いなって」「モバイルバッテリーを車の中に置きっぱなしにしたとき、一度膨らんだことが」…と街の人から聞かれた声。皆さんも同じような経験をしたことがあるかもしれない。

2023年4月 福島県福島市で起きた炎上火災
2023年4月 福島県福島市で起きた炎上火災
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最悪のケースとして、火事の火元となる事例が増えている。福島市消防本部によると、市内では2023年一年間にリチウムイオン電池が火元とみられる火事が8件発生、2022年よりも6件増加した。充電中が4件、ゴミ収集車が1件、リュックサックの中のモバイルバッテリーが強い衝撃を受けて発火したケースも1件あった。(不明が2件)

提供:福島市消防本部 充電中や衝撃を受けての発火も
提供:福島市消防本部 充電中や衝撃を受けての発火も

消防は適正利用を呼びかけ

製品として流通しているものは、基本的には安全性が確保されているが、経年劣化や取り扱いに注意が必要だ。
福島市消防本部・予防課調査係の阿部学係長は「すごく便利な機器ではあるが、使い方を一歩間違えると火災が発生するリスクが考えられる。小型で大電力を発生させるので、外からの衝撃や、適正な充電方法・管理方法をしないことによって、機器に異常をきたす可能性は高い」と話す。

便利だが適正利用をしないと異常をきたす場合も
便利だが適正利用をしないと異常をきたす場合も

衝撃・過充電・過放電

福島市消防本部が行った実験では、リチウムイオン電池に強い衝撃が加えると破裂しその後に出火した。こうした強い衝撃以外にも、気を付けるポイントがある。

提供:福島市消防本部 衝撃を与える実験
提供:福島市消防本部 衝撃を与える実験

100%を超えても充電を続ける「過充電」、そして長い間充電せずに放置すると起こる「過放電」は電池の劣化に繋がり、発火のリスクが高まるという。また、正規品のバッテリーや充電器を使用しないと規格の違いから過充電になってしまったり、安全装置が正常に作動しない恐れがある。リチウムイオン電池は熱に弱く、内部で可燃性ガスが発生しやすくなるため、高温での使用も避けること。

気を付けるポイント(福島市消防本部)
気を付けるポイント(福島市消防本部)

ゴミ収集には出せない!?

リチウムイオン電池に起因したゴミ収集車での火事も発生しているが、そもそもリチウムイオン電池をゴミに出してはいけない。
2023年にも福島県福島市では、ゴミ収集車が回収したモバイルバッテリーから出火する火事があった。

リチウムイオン電池が原因 ゴミ収集車で火事も
リチウムイオン電池が原因 ゴミ収集車で火事も

収集時に発火せずにゴミ処理場へと送られても、処理の際の衝撃で発火し処理場の火事に繋がる恐れがある。もし、処理場が火事になると市民全体のゴミを処理できなくなる。福島市では目視できたリチウムイオン電池は取り除いているが、処分できないため溜まっていく一方だという。

ゴミ収集に出されてしまったリチウムイオン電池
ゴミ収集に出されてしまったリチウムイオン電池

回収ボックスや販売店などに相談

リチウムイオン電池の処分については、購入品のメーカーや販売店に回収の相談をするほか、一部の家電量販店などに設置されている回収ボックスの利用を。リサイクル活動などを共同で行っている「一般社団法人JBRC」のホームぺージから、回収協力店を検索することができる。

正しく処分を 回収協力店を検索できるサイトも
正しく処分を 回収協力店を検索できるサイトも

皆さんのところにも、家庭用ゲーム機やスマホなど昔愛用していた物が家に眠っていないだろうか?注意点と処分方法を理解して、火事発生のリスクを下げて安全な利用を。

(福島テレビ)

福島テレビ
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